侍・稲葉監督がV争いの虎戦士に贈った〝金言〟 一瞬のスキが致命的なミスになる!

阪神・矢野監督(左)と話す日本代表・稲葉監督(東スポWeb)

金メダル戦士だから言える金言がある。東京五輪で金メダルに輝いた、侍ジャパン・稲葉篤紀監督(49)が7日のヤクルト戦(甲子園)の試合前、梅野、岩崎、青柳ら代表3選手のもとを訪れ、今夏の五輪での貢献に感謝の思いを伝えた。その一方、今後のV争いにも生かしてほしい経験もあるという。五輪で目の当たりにした〝一瞬のスキ〟の恐ろしさは、V争いを展開中の猛虎だからこそ生かしてほしいテーマだという。

7日の試合は侍ジャパン戦士でもある先発・青柳がヤクルト打線の猛攻にあい5回8安打5失点。中継ぎ陣も炎上し、カード初戦を被安打18、12失点で零封負けを喫した。負の流れの口火を切る形となり3敗目を喫した青柳は「チームもいい流れで迎えた試合でしたが、自分の投球で水を差すような形になってしまい、チームに本当に申し訳ないです」と苦い表情を浮かべるしかなかった。

とはいえ、今後の発奮につながる出来事もあった。試合前には東京五輪を戦った稲葉監督が来訪。代表の梅野、岩崎、青柳の3人と旧交を温めつつ「重圧、プレッシャーのなかで戦った経験は自分たちのチームに帰って、プレーで。しっかり背中で引っ張っていける存在であってほしいなと思います」と激励に訪れてくれた。

特に3人の虎戦士には、稲葉監督だけにとどまらず、他の代表首脳陣も今後のV争いにぜひとも生かしてもらいたい〝教訓〟もあるという。侍関係者によると「これは投手陣全員が大会中に改めて、肝に銘じたこと」と振り返ったのが、投手と内野手間で行う連係プレーの重要性。敵の失態を自戒したのがきっかけだった。

その場面は、初戦となったドミニカ共和国戦、2点を追う9回一死の場面。柳田(ソフトバンク)の平凡な一ゴロは相手投手の一塁ベースカバーが遅れ、結果的に内野安打に。日本はその後、サヨナラ勝利を飾り、結果的には、以後も侍ジャパンは「全勝」で大会を終えた。

「今だから言えるけど、相手の投手が普通にベースカバーに入って二死になってたら多分、負けていた。そう考えると怖いよね。まったく違う大会になっていた」。侍投手陣はその後「投げること以外も常に全力」と、自然と各自が凡事徹底への意識を高めたという。

V争いの渦中にある現在の阪神には、優勝経験のある人材が少なく、投手陣ではほぼ皆無。だが、五輪での修羅場をくぐりぬけ、一瞬のスキが致命的なミスとなってしまう〝怖さ〟を知った、金メダル3戦士たちがいる。その存在を生かさない手はない。

© 株式会社東京スポーツ新聞社