紛争の傷痕 写真から感じて 古里長崎で企画展

コソボの街並みなどを撮影した写真が並ぶ会場=長崎市、ナガサキピースミュージアム

 紛争後のコソボを撮影したドイツ在住の写真家、サトミ・ヘニックフェルトさん(57)=長崎市出身=による写真展「KOSOVO 紛争のあとで」が、長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで開かれている。人々の生活や街並み、紛争犠牲者の合同葬儀など146点の作品が並ぶ。10月3日まで。
 ヘニックフェルトさんは海外生活に憧れ、1989年からドイツ・デュッセルドルフで暮らしている。長女が小学1年生だった時、同級生にコソボ難民の女児がいたことから関心を持つようになり、ニュースでしか見たことがないコソボの状況を記録したいと、現地を訪れて撮影を始めた。
 今回は2015年と19年に撮影した写真をストリート、ポートレートなど四つのカテゴリーに分けて展示。このうち合同葬儀では、雪がちらつく中、多くの遺族らが集まり、身元が判明した28人を追悼する様子が記録されている。ヘニックフェルトさんは「夢中でシャッターを切った。緊張感と悲しみが自分の中で渦巻いた」と振り返った。
 20年ほど前から写真の勉強を始め、東京や欧州などで展示会を開催。長崎での写真展は昨年予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大で延期に。コロナで来日できず、妹の中村敦子さん(54)=市内在住=が準備などを手伝った。
 ヘニックフェルトさんはメールでの取材に対し、「初めて長崎で展示ができて、うれしく思う。コソボで出会った人たちは(原爆が投下された)長崎や広島のことを知っていた。これからも写真という形で戦争について考える活動をできたらと思う」とメッセージを寄せた。

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