気象庁は10日(金)、エルニーニョ監視速報を発表した。
エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっている。今後、冬にかけて、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高い(70%)。
8月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近く、差は-0.3℃ だった。海洋の状態は、ラニーニャ現象に類似した海面水温分布が見られるものの、大気の状態にはラニーニャ現象時の特徴が明瞭には見られず、全体としてはエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態とみられる。
太平洋赤道域の東部にみられる海洋表層の冷水が秋を中心に持続し、今後、東部の海面水温が秋から冬にかけて一時的に低下すると考えられる。エルニーニョ予測モデルは、太平洋赤道域の西部で海面水温が高く、対流活動が活発となりやすいことから、太平洋赤道域の中部を中心に東風偏差が秋に強まり、ラニーニャ現象に類似した状態が持続するが、ラニーニャ現象の基準(5か月移動平均が-0.5℃を6か月連続で下回る)まで達する可能性は低いと予測している。以上のことから、今後、冬にかけてエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高い(70%)。
エルニーニョ/ラニーニャ現象とは
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象のこと。逆に、同じ海域で海面水温が、平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれる。ひとたびエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられている。