雲仙温泉 供給が再開  土砂崩れから約1カ月 住民「日常戻った」 

約1カ月ぶりに、だんきゅう風呂に漬かり満足そうな住民=雲仙温泉街

 大雨による土砂崩れで、雲仙温泉街(長崎県雲仙市小浜町)の一部の旅館や大衆浴場への温泉供給が停止している問題で、源泉と給湯管が10日、仮復旧し、供給が再開された。これに伴い、大衆浴場「湯の里温泉共同浴場 だんきゅう風呂」も約1カ月ぶりに営業を再開し、住民は「ようやく日常生活が戻った」と喜んだ。
 8月13日、雲仙地獄の一つ「八万地獄」に裏山から崩れた土砂が流れ込み、源泉や配管設備が埋もれた。この影響で、だんきゅう風呂、雲仙スカイホテル、雲仙湯元ホテルへの温泉供給が停止。市と旅館関係者、地獄を管理する環境省で対応策を協議し、土砂の隙間から湧き出た温泉をいったん木製容器にため、3施設に分配する仕組みを作った。
 10日は、だんきゅう風呂と雲仙スカイホテルへの供給を開始。雲仙湯元ホテルには配管が整い次第供給する。
 だんきゅう風呂は午前9時の営業開始から常連客が訪れ、いつも通りの約42度の温泉に漬かった。毎日のように通っていたという住民の近藤正成さん(85)は「ここはわが家のお風呂みたいなもの。湯の肌触りが少し粗くなったように感じるけど気持ちいい。ほっとする」と満足げ。
 雲仙スカイホテルの若おかみ、内田亜希子さん(42)は浴槽にたまっていく白濁の湯を見ながら「いつもの硫黄の香りも戻ってきた。温泉あってこその雲仙。これでお客を呼べるようになる」と気を取り直した。

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