親と持ち家で同居する50代夫婦「交通の便のいい場所に住み替えたいが実現可能?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、56歳・契約職員の女性。57歳の夫と義両親と、持ち家に同居する相談者。現在の資産は、ローン支払い済みの持ち家と、現金預金1,600万円と投資資産2,100万円。交通の便のいい場所に住み替えたいといいますが、可能でしょうか。どのような点に注意が必要でしょうか。FPの飯田道子氏がお答えします。

今後マンション住まいを考えていますが、可能でしょうか。

茨城県在住、56歳、契約職員です。57歳の夫は6月に早期退職し、求職中です。義父(88歳)、義母(85歳)と同居しています。だいぶ衰えてきてはいますが、今のところ、介護の必要はありません。

現在、築26年の持家のローンは終わっており、このまま住み続ければ経済的には安泰なのですが、車がないと不便なところなので、できれば交通の便の良いところでマンション住まいをしたいと思っています。具体的な場所を考えているわけではないので、金額も不明ですが賃貸か中古の購入か、いずれかの選択で可能かどうか、アドバイスをいただけないでしょうか。

【相談者プロフィール】

・女性、56歳、契約職員、既婚

・同居家族について:夫(57歳・求職中)、義父(88歳)、義母(85歳)

・子ども2人(別居):28歳、 31歳

・住居の形態:持ち家(戸建て・茨城県)

・毎月の世帯の手取り金額:37万円

・ボーナスの有無:なし

・毎月の世帯の支出の目安:25万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:0円

・食費:4万円

・水道光熱費:3万円

・保険料:1万8,000円

・通信費:1万4,000円

・車両費:1万6,000円

・お小遣い:3万円

・その他:10万2,000円

【資産状況】
・毎月の貯蓄額:2万円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):1,600万円

・現在の投資総額:2,100万円

・現在の負債総額:0円


飯田:今回は、住み替えで悩んでいる相談者様です。現在、住んでいる田舎の土地にそのまま住み続けても、交通の便が悪いため、交通の便の良い地域で、中古のマンションを購入して暮らす、もしくは賃貸で暮らすことを考えているとのことです。マンションに住み替えることは可能なのでしょうか? また、住み替えをする場合、どのような点に注意しなければならないのでしょうか?

介護することになったときの利便性を考えた場所選びが大切

相談者様は、現在、義両親とご夫婦の4名ですね。文面から察すると、ご夫婦のみで住み替えられるのですよね?

義両親が経済的に自立されているのであれば、自分たちの収入は全て自分たちで使えることができますが、援助が必要な場合は、その分を差し引いて生活費を算出しなければなりません。

まだ、住み替え場所は決めていないとのことですが、万一、義両親のどちらかが介護が必要になったときに、相談者様夫婦がサポートしなければならない場合は、介護を見据えて、通いやすい地域を選ぶことが大切です。

中古で購入する場合、どこを見るべきか

茨城県の交通の便の良い都市部は子育て世帯にも人気があり、中古でもある程度の資金が必要になります。徒歩で駅まで行けるのか、バス便の利用かなどでも、物件価格は変わります。

中古物件は立地の他にも築年数によって物件価格は違ってきます。場所にもよりますが、新しめの物件では、2,000万円台が相場と考えてください。もちろん、ワンルームなら300万円台から購入できる物件もあるのですが、それでも築年数が古くなりますし、設備的な古さは否めません。マンションと言っても、立地のみならず、設備も大切なポイントになります。どのような地域でどのような設備のあるマンションに暮したいのか、考えておくことが大切です。

ただ、現状で言えるのは、マンション価格が手数料込みの2,000万円で収まったとしても、手持ちの預貯金+投資の残金は1,700万円になります。それでも購入したいのか、これから受け取る年金等も参考にして、じっくり考えてみてください。

中古で購入する場合のポイント5つ

また、購入した場合には管理費や修繕積立金も支払わなければなりません。大規模修繕が行われた直後なら、大きな出費は考えにくいのですが、これから修繕するような場合には、さらにまとまったお金が必要になってしまいますので注意が必要です。あわせて固定資産税の支払いも生じることも忘れないでください。

【中古物件を購入するときのポイント】
・予算以内の物件か
・利便性は良し悪し
・設備は納得のいく内容か
・修繕積立金、管理費はいくらか? 負担にならないか?
・大規模修繕はいつ行われたか? 予定はあるのか?

賃貸で30年間暮らした場合いくらかかる?

賃貸の金額もかなりバラツキが見られました。ただ、概ね管理費込で8万円くらいの物件であれば、2LDKで利便性の良い場所で借りることが可能です。賃貸であれば年間96万円。その場所で10年間暮らした場合は、960万円です。30年間暮す場合は、2,880万円になりますが、もう少し小さい物件であればさらに安くなります。

賃貸の場合、経年劣化にともない賃料の値下げ交渉もできますし、住み替えも容易にできるのもメリットになります。

中古物件を購入するのか? 賃貸か?

義両親の介護の他に、考えていかなければならないのは、自分たちの貯蓄についてです。現在の支出額が、月額25万円です。年金が同じくらいの収入があれば良いのですが、中古物件を購入するにせよ、賃貸を借りるにせよ、今まで生じていなかった住宅関連費用が毎月必要になります。また、今の住まいの固定資産税も支払わなければなりません。それらの費用を捻出するためには、ある程度、節約をすることが必要です。

年金受給額は分からないのですが、お手持ちのデータを参考に、どちらのパターンでも生活できるのか、シミュレーションしてみてください。その結果、可能と判断したら住み替えてもいいでしょう。

実際に物件を見学して、具体的なプランをイメージして

いずれにしても、実際に物件が決まっていなければ、可能か不可能か判断もできません。今すぐに決めるのではなく、ご夫婦で住んでみたい地域を考えて、実際に物件を見てまわってみると、具体的にイメージできると思います。実現可能かを判断するのは、そのときでも遅くはありません。

セカンドライフだからこそ、自分の思い描いた生活を送りたいと思うものです。ちょっと、面倒ではありますが、物件巡りをしながら、そこでどのように暮らすのかを考えてみてはいかがでしょうか?

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