阪神に払拭したい“トラウマ” ヤクルトに屈せば92年以降「暗黒時代」の再来?

1992年に〝亀新フィーバー〟を巻き起こした新庄(左)と亀山

悲願の16年ぶりリーグ制覇を狙う首位・阪神は14日から敵地・神宮で3位・ヤクルトとの2連戦に臨む。最大のライバル巨人が失速する中、ダークホース的に徐々に状態を上げてきた高津ヤクルトは猛虎にとっても不気味な存在だ。何かと荒れ気味な今季の阪神―ヤクルト戦。29年前の〝虎ウマ〟を今年こそ拭い去りたいところだが――。

ここまで今季の対ヤクルト戦を11勝5敗と大きく勝ち越している矢野阪神だが、前週に甲子園で行われた3連戦(7日~9日)では3戦合計28失点と投手陣が崩壊し1勝2敗の負け越し。村上、山田、オスナら強打者がそろうヤクルト打線に対し、矢野監督も「ピッチャーだけでは抑えられない。キャッチャーがどう引っ張っていくかが大事になってくる」と警戒感を強めている。

ヤクルトと最後まで優勝争いを演じたシーズンとして虎党の記憶に残るのは〝亀新フィーバー〟と呼ばれた社会現象を巻き起こした1992年。亀山努と新庄剛志を中心とした若手選手たちがチームをけん引し、シーズン最終盤まで優勝戦線に絡んだ伝説的な1年だった。最終的に野村克也監督(当時)率いるヤクルトに屈し、V逸。阪神はその後、暗黒時代と呼ばれる10年以上の長い長い低迷を余儀なくされた。

92年当時、現役の一軍選手として活躍していた阪神OBは当時を振り返り「亀山、新庄、久慈、田村…。あの年に活躍していた選手たちの多くは実質〝ルーキー〟みたいなもので、まるで経験が足りていなかった。一方でヤクルトには広沢、池山、古田と30歳前後の脂の乗り切った選手が多くてね。そのへんの差がシーズン最後で出てしまったのかもしれない」と当時を振り返る。2021年の阪神の躍進も佐藤輝、中野、伊藤将ら新人選手の活躍によるところが大きく「そういう意味では29年前のシーズンと今年は似ているのかもしれない」(前出のOB)。

チーム関係者も「もちろん巨人がこのまま終わるわけがないとは思っているが、今年のヤクルトは大ベテランの青木から若い村上までチームのバランスがいい。もちろん山田も健在だしね。オスナ、マクガフら助っ人選手もそろい、陣容が整った今のヤクルトは一番戦いたくない存在だよ」と語る。

死球の応酬から「警告試合」を宣告された4月18日(甲子園)、サイン盗み疑惑で両軍指揮官が一触即発になった7月6日(神宮)など〝いわくつき〟の試合が多い今季の虎と燕だが、思い起こせば92年にも「八木の幻の2ラン」と呼ばれる6時間26分の〝疑惑の一戦〟があった。「野村の教え」を濃密に継承する矢野監督と高津監督が采配を振っている点も興味深い。今季はどのような結末を迎えるのだろうか――。

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