前日本考古学協会長で、千々石ミゲル墓所発掘調査指導委員長を務める谷川章雄・早稲田大教授の会見での主なやりとりは次の通り。
-現状について。
巨大な墓碑が本来、二つの墓坑のほぼ中央奥に建てられていたことが分かったのは大きな発見。また、墓所の造営のプロセス、順番が明らかになった。かなり大掛かりで、計画性があった。
-1号墓には石の蓋(ふた)があった。2号墓は木棺直葬。その違いは何を意味するのか。
分からない。1号墓は石蓋が3枚あり、その下に石の囲いがあった。その違いはなぜかというのは解釈のレベルなので難しい。調査が進行中で確定的なことは言えない。
-一般に石蓋をする意味は。
この時期の大名墓は基本的に石室の中に入るのが一般的。1号墓に関して言えば、格式を示している。
-ミゲルの骨と断定する方法は。
一つは性別と年齢。ミゲルの(没した)年齢と矛盾がないか。骨の分析を待つしかない。(ミゲルは棄教したと伝えられている一方、棄教しなかったとの説もあるが)キリシタン墓というのは大体、副葬品がない。キリスト教関連の遺物を副葬する事例は一部。発掘調査の成果の中で判断していくしかない。
-埋葬状況から見て、1号墓の女性の方が重視されていたと考えられるか。
2号墓が掘り上がった後に判断すべきこと。現状ではよく分からない。