コロナ禍の修学旅行 長崎県内事業者を翻弄 予約入っては消え「今年の方が深刻」

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長崎市への修学旅行生の推移

 新型コロナウイルス感染の波が、修学旅行を受け入れる県内の事業者を翻弄(ほんろう)している。春は第4波の影響で修学旅行を秋以降に変更する学校が相次ぎ、第5波に見舞われる現在は、延期された分が再びキャンセルになる事態が続く。見通しが立たない状況に2年連続で直面し、関係者は「今年の方がより厳しい」と頭を抱える。
 大阪府のある中学校は、今月予定していた長崎市内への修学旅行を来月末に延期。府が緊急事態宣言下で、都道府県をまたいだ移動の自粛が求められているためだ。校長は「昨年は沖縄から変更して長崎に受け入れてもらった。今年もなんとか頑張って実施したい」。ぎりぎりまで可能性を探る。
 県内への修学旅行は関西、関東の中学や高校が中心。長崎市観光統計によると、2020年に同市を訪れた修学旅行生は、コロナ禍の中、約12万5600人と前年から半減。1957年の統計開始以来最も少なかった。今年も緊急事態宣言下の地域からの予約が多く、春の予定をいったん取りやめ、秋以降に先送りする流れが繰り返されている。
 また、今年は県教委調べ(5月時点)で、県内の小学校の9割、中学校の7割が行き先を県内に変更。県観光連盟によると、県民向け宿泊割引キャンペーン「ふるさとで“心呼吸”の旅」を活用して予約した小中学校は計357校に上る。だが、感染拡大に伴って春先と今月12日までの2回、長崎市内の観光施設が閉鎖。さらに同キャンペーンが9月30日まで停止になった影響などで、県内の学校にも延期が広がっている。
 その直撃を受けているのが宿泊、旅行業者だ。県旅館ホテル生活衛生同業組合によると、県内で修学旅行を受け入れている30の大型宿泊施設の今年4~9月の売り上げ合計額は19年同期の3割にとどまる見込み。コロナ禍で各事業者は複数回借り入れをしており「経営は昨年より厳しい状態」という。
 同組合の塚島宏明専務理事が副社長を務める長崎スカイホテルチェーンは、9月に入って長崎市内の3ホテル合計で40校、7580人分がキャンセルになった。この1年半は予約が入っては消えの繰り返し。確実な収入が予測できない状態が続くが、実施を模索する学校側を思うと「キャンセル料は取れない」という。
 主に県内の小学校の旅行を請け負う地場の旅行業者も切実だ。県旅行業協会の前田寛信会長によると「一般の旅行が動かない今は修学旅行しかない」状態。だが、行き先が県内だと県外より旅行代も安くなる。加えて4~9月は軒並みキャンセル。自身が経営する新日本観光(島原市)の売り上げは19年度比で1割に満たない月が続いている。
 さらに懸念するのが、第5波で県内でも児童・生徒に感染が広がっている点だ。「実施に慎重になる学校が出てくるだろう。影響は昨年より深刻になりそうだ」と不安を口にした。
 一方、長崎市内の被爆遺構巡りなど平和学習を受け付ける長崎国際観光コンベンション協会によると、本年度も例年並みの3万4千人分の児童・生徒の予約が入っている。春からの延期分が年度後半に集中し、11月だけで通常の繁忙期の3割増し。ただ「9月に入って取り消しが相次いでいる」といい、先行きは不透明だ。