韓国紙「文政権の《克日・先進国入り》発言は幼稚かつ誇張」「精神勝利法は国家を盲目にする」

韓国の保守系紙が、韓国政府の「克日」「先進国入り」言動を批判している。

東亜日報は16日、イ・チョルフィ論説委員のコラム『国家の盛衰を政治的放言に貶めるな』を掲載し、ムン・ジェイン(文在寅)大統領や与党幹部の発言を戒めた。

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先週、韓国与党の院内代表が国会で「ムン・ジェイン政権は大韓民国を先進国にした政権として歴史に記録されます」「歴史はムン・ジェイン政権が解放後75年ぶりに日本を超えた政権として記録するでしょう」と発言した。

これについてイ論説委員は、「その根拠というのがK防疫成功、カブールの奇跡(アフガン人脱出)、対日貿易戦争の勝利、先進国入りなどである」とし、「これらを編み合わせれば、そのような《歴史》も作られる」としつつ、「一様に子供の幼稚な自慢にも聞こえる話」と述べた。

一方で、「このような認識が、韓国政府の対外戦略にも反映しているか否かについては注意すべき問題」だと述べ、「その自慢の一つ一つは、政府から出てきたものである」と指摘。続けて、「高まった国家の地位を教えて国民に誇りを植えつけることは必要である」が、しかし「それは実像以上に膨らんだものである」とし、基準の不確かさについて論じている。

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ムン大統領は光復節(8・15)の演説において、韓国が国連貿易開発会議(UNCTAD)において発展途上国から先進国グループに移った(7月)にことを挙げ、先進国入りを強調したが、すでに他の国際機関では先進国として活動していたことや、UNCTADでは様々な貿易利害もあり発展途上国の地位を意図的に維持していたとイ論説委員は追及した。

韓国が日本を超えたという主張についても、購買力基準の1人当たりの国民所得や国家競争力順位、国家の信用評価で追い越したのは事実であるものの、「しかし、日本の国内総生産(GDP)は韓国の3倍、世界3位であり、韓国がゲストとして招待されたと自慢していた主要7カ国(G7)のレギュラーメンバーである国だ」とし、「そんな日本が甘い相手なのか」と反問している。

そして、「米中競争で激動する北東アジア情勢をみると、日韓間の盛衰を比較することがどのように哀れでノイジーであるか」とし、これまで「どんな米国の敵もGDPが米国の60%を超えたことがなかった」にも関わらず中国が70%水準に達し、「100年ぶりの大変革期(百年未有之大變局)」であるとして、米国に挑む現状にこそ注意を払うべきであると説いている。

イ論説委員は、「葛藤する日韓関係だが、米中覇権争いの最中では同病相憐れむ境遇だ」とし、「いざ心配しなければならないことはますます広がる中国との格差だ」と指摘。

続けて、「政治という名の「精神勝利」は、国家の目も盲目にする」とし、今年が『阿Q正伝』の週刊誌連載100年周年であることを強調した。魯迅の名作『阿Q正伝』で主人公阿Qは、「精神勝利法」と自称する独自の思考法を頼りに、人一倍高いプライドを守ろうとする。

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