韓国経済紙「JSRが米フォトレジスト企業を買収」「日本企業の影響力がさらに大きくなる」

フォトレジスト大手の日本企業JSRが、同業の米インプリア(Inpria)を買収したことを受け、韓国経済紙が自国半導体産業への影響を注視している。

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JSRは17日、インプリアの株式79%を追加取得し、子会社化すると発表した。現在21%の持ち株比率を100%に引き上げる。Inpriaの事業価値に関しては約565億円で合意した。

ソウル経済新聞は同じ日、「サムスン電子とSKハイニックスが投資した米国極紫外線(EUV)フォトレジスト(PR)会社インプリアを日本の素材強者であるJSRが買収した」報じ、「インプリアは既存の業界で試みられなかった鉱物ベースEUV PRを造る前途有望な素材会社である」と伝えた。

同紙は、「すでにEUV PR市場で90%以上のシェアを占めている日本のEUV PR技術の影響力が強化され、サムスン電子とSKハイニックスのEUV PRサプライチェーン(SCM)に少なからぬ変化があると予想される」と分析している。

2019年7月に日本政府はEUV用フォトレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドの3品目に関して対韓国輸出規制(輸出管理強化)をとっており、韓国では大きな反発が起き、日本製品の不買運動などに繋がった。EUV用フォト時レストは、EUV露光装置を使った超微細半導体の製造工程において欠かせない素材であり、韓国の半導体産業の競争力を左右するほどの影響力を持つ。

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EUV用フォトレジストは、JSRや信越化学、東京応化工業(TOK)などが大きなシェアを持つ。昨年には韓国政府の誘致もあり米デュポンがEUV用フォトレジストの現地生産に乗り出すことが明らかになっている。

インプリアは、2007年に設立された米国のEUVフォトレジスト企業だ。同社は、既存の製品とは異なる源泉技術でフォトレジストを生産する。ソウル経済新聞は、「特にPRを構成する分子の大きさが従来の有機物ベースのPRよりも約5分の1サイズという小さな鉱物ベースPRのため、露光時に、はるかに洗練されたほとんどの回路を形成する」とし、「インプリア鉱物PR技術は、3ナノ以下の半導体時代から超微細回路を形成するための有望な技術として注目されてきた」と強調した。

今後の半導体工程競争では、素材を使った微細化が有力視されており、インプリアの持つEUV用フォトレジストもその一つになるとみられる。EUV微細工程において台湾TSMCと競争するサムスンにとっては、非常に関心の高い素材であることは間違いない。

同紙は、「次世代EUV PR源泉技術まで、日本最大のEUV PR会社が手中にする今後のグローバル半導体市場において、日本メーカーの先端素材影響力がさらに大きくなると予想される」と分析している。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「しょうもない官辺団体に使うお金があったら、(国は)こんな技術を開発するのに使ってほしい」

「国粋系メディアによると日本は2019年韓日貿易紛争のときに滅亡する国のはずだったが、現実は基礎科学強国であり知識財産で食っている」

「今も問題なく供給されてるよね?日本企業が迂回しようが何だろうが売ってきてるのに何を心配するのか」

「ドンジンセイミケムのPRを応援しましょう」

「ほんと危険だよ。迂回して来るものを全て遮断されたら何もできない。国内企業が自ら開発しないと後で被害をみるよ」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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