初期消火にもっと市民の力を 神奈川・大和市、スタンドパイプ啓発へキャンペーン

大和市が配備に力を入れるスタンドパイプ

 市民自らが初期消火に当たるための資機材「スタンドパイプ」。自治会への導入を始めて8年目を迎えた神奈川県大和市は今月、啓発キャンペーンを行っている。市内全域への設置をほぼ終えたものの、新型コロナウイルス禍で訓練が中止になるなど、操作できる市民の確保が課題になっているためだ。

 スタンドパイプは、身近にある消火栓に差し込み、簡単な操作で15メートル先まで放水できる。1995年の阪神大震災で同時多発した火災に消防署・消防団が対応できなかった教訓から、市民が活用する新たな消火資機材として導入された。

 大和市消防本部は2013年度から地域の自主防災会や公園、駅、コンビニ店など537カ所に順次設置。操作は簡単とされているが、特殊な工具を使った消火栓のふたや栓の開閉、ホースの接続に戸惑う市民は少なくないのが実情だ。

 そこで、市消防本部では自治会などの依頼を受け、消防職員による取り扱い訓練を年間50回ほど実施してきた。しかし、コロナ禍で昨年度は2回、本年度は0回と開催できない状態が続いている。

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