アクシデント続出の第5戦スパ。クビサ組チームWRTが今季3勝目でタイトル確定/ELMS

 9月19日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットでELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第5戦の決勝レースが行われ、チームWRTの41号車オレカ07・ギブソン(ロバート・クビサ/イーフェイ・イェ/ルイ・デレトラズ組)が優勝。今シーズン3勝目をマークし、最終戦を待たずにシリーズチャンピオンを決めている。

 8月21~22日に行われたWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースで、クラス首位を走りながらラスト1周でストップする悲劇的な結末に襲われたクビサ/イェ/デレトラズのトリオが、あれから約1カ月後のレースで見事に“リベンジ”を果たした。
 
 チームWRTの41号車オレカは18日(土)に行われた予選で、初ポールを獲得したクール・レーシングの37号車オレカ07・ギブソンとユナイテッド・オートスポーツの22号車オレカ07・ギブソンに次ぐ3番手グリッドを確保。曇天のなかドライコンディションでスタートした4時間の決勝レースではクビサが、1周目の1コーナーでの接触によって後退した22号車オレカに代わって2番手に浮上した。

ランキング2位につけるGドライブ・レーシング26号車アウルス01・ギブソンが追突を受け、1周目にリタイアに

 スタートから40分後、グラベルにスタックした車両を回収するためのフルコースイエロー(FCY)中に首位37号車オレカがピットへ向かい、2番手につける41号車も続く。ピットアウト後、クビサ駆る41号車がトップに躍り出た。

 その後、クビサは2番手に浮上してきたパトリック・ピレ駆る28号車オレカ07(アイデック・スポール)と僅差の攻防を繰り広げるが、アルファロメオF1のリザーブドライバーは首位の座を譲ることなくイェにバトンにつなぐ。39周目にステアリングを受け継いだイェは2番手でコースに復帰し、数秒差で先行する32号車オレカ07・ギブソン(ユナイテッド・オートスポーツ)を追いかけていく。
 
 首位を争う2台の差はラップを重ねるごとに縮まり41周目にはテール・トゥ・ノーズに。翌周、ケメル・ストレートエンドのレコンブで32号車がGTEマシンに詰まったタイミングでイェがこれを攻略。ふたたびレースリーダーとなった。
 
 クビサと同様に2スティントを担当したイェは首位のまま78周終わりにピットイン、デレトラズに最終スティントを託す。WRTのコースイン時点での2番手は、32号車とこのポジションを争うデュケイン・チームの30号車オレカ。ギャップは約9秒だ。

 41号車をドライブするデレトラズはこのマージンを有効に使い、最後は30号車オレカの5.3秒前でトップフィニッシュ。チャンピオンシップを争うGドライブ・レーシングの26号車アウルス01・ギブソンがスタート直後のアクシデントに巻き込まれて1周目にリタイア、ノーポイントに終わり、その差が36ポイントに開いて最終戦での逆転が不可能になったため、チームWRTのシリーズチャンピオン獲得が確定した。

 レースで3位表彰台を獲得したのは、前戦モンツァでウイナーとなったパニス・レーシングの65号車オレカだ。クール・レーシングが総合4位でLMP2プロ・アマクラス優勝を飾り、ユナイテッド・オートスポーツの32号車オレカは5位でレースを終えている。

 LMP3クラスはDKRエンジニアリングの3号車デュケインM30-D08・ニッサン(ラオレンツ・ハー/マチュー・ドゥ・バーブア組)が、クール・レーシング19号車やユナイテッド・オートスポーツの2号車リジェJS P320・ニッサン勢を抑えて優勝を飾った。
 
 GTEクラスは88号車AFコルセ(フランソワ・ペロード/エマニュエル・コラール/アレッシオ・ロベラ組)を先頭に、80号車と83号車アイアン・リンクスを合わせた3台のフェラーリ488 GTE Evoがワン・ツー・スリーを達成。表彰台を独占してみせた。

 ELMSの次戦最終戦ポルティマオは10月23~24日、ポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキットで開催される。

2021年ELMS第5戦スパ・フランコルシャンのスタートシーン
ポールポジションを獲得しプロ・アマクラス優勝も果たしたクール・レーシングの37号車オレカ07・ギブソン
ユナイテッド・オートスポーツの32号車オレカ07・ギブソン
デュケイン・チームの30号車オレカ07・ギブソン
DKRエンジニアリングのデュケインM30-D08・ニッサン
アイアン・リンクスの80号車と83号車フェラーリ488 GTE Evo
GTEクラスを制したAFコルセの88号車フェラーリ488 GTE Evo
GTEクラス表彰台を独占したフェラーリ勢

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