韓国通商大使「日本の輸出規制は国際信頼を阻害...多くの国が共感」「TPPは日本主導ではない」

昨年、WTO(世界貿易機関)の最終候補者にもなった韓国のユ・ミョンフィ前通商交渉本部長が、日本の輸出規制(輸出管理強化)やTPP加盟について持論を述べている。ユ前本文長は9月7日に人気を終えたが、韓国政府の経済通商関連の外交活動を支援する「経済通商大使」に任命されるなど、文政権の信任の厚い人物でもある。

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ユ大使は23日、ハンギョレ新聞のインタビューに答えている。

ユ大使は、WTO事務総長選で票数が不利になるも辞退せず、選挙が長期化したことを問われると、「事務総長桁は本来投票して数を数える方法で決定していない」とし、コンセンサスの合意により当選する方式だが、当時トランプ政権が相手候補に拒否権を行使したことから合意が遅れ、「コンセンサスの手順を踏むのに時間がかかった」と答えている。

米中貿易紛争に関してユ大使は、「特定の国ではなく、課題を中心に意見を出し、支持するかしないかとする事案だと思う」とし、半導体において「中国は主要な協力パートナーであり、貿易は持続している。半導体分野で韓・米間の協力は経済的相乗効果を出そうとするものであり、韓中関係を損なう要因ではないと思う」とバランスを取った。

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日本の輸出規制について、当時通商交渉本部長だったユ大使は、「輸出規制直後、米国に出張を行ったり、RCEP(域内包括的経済連携協定)の会議で日本の世耕大臣(当時経産)と話したりした」とし、「日本の措置は、長期にわたる細かい信頼関係で構築された世界的なサプライチェーンを破壊するものである」と批判した。

続けて、「ワクチン一つ作るにも、200個以上の原副資材が必要だ。非経済的問題でサプライチェーンを毀損することは信頼を阻害する否定的先例になるということを多くの国が共感した」とし、「米国でも議会関係者や商務長官に会って話をしたし、共感を引き出した」と述べている。

ユ大使は「日本の措置は、最終的には良い先例を残したことであった」とも述べた。ユ大使は、「(日本は)国際的なビジネスの信頼を損い、自分たちのビジネスの安定性も壊したのであり、不確実性が増した。一方で、我々としてはコロナ事態を経る前に、サプライチェーンを再点検する重要な契機となった。足りない部分では供給先の多様化、投資誘致、独自開発で補強する作業をした。コロナ事態を迎えたときにすぐに対処経験を蓄積していたのだ。一種の《ワクチン接種》だったと思う」と評価した。

CPTPP(包括的・漸進的環太平洋経済連携協定)については、「RCEPほど大きくはないが、規範や市場開放側面では、より高いレベルだ」とし、「加入した方が良いと思う」と述べた。

一方で、CPTPPは日本が主導しているとの指摘に対しては、「どの国が主導ということはない」としつつ、「日本が主要参加国であることは正しい」と述べた。続けて、「ニュージーランド、シンガポールなど4カ国で開始し、日本は後で入った。経済規模が最も大きい国が日本である。米国が途中で退出し、日本が最も大きい国になった」と指摘している。

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