阪神〝ハルト無双〟13KでG打線からプロ初完封「アイツはマウンド上がると人が変わる」

プロ初完封に表情を緩ませた阪神・高橋(東スポWeb)

阪神は25日の巨人戦(東京ドーム)に3―0で快勝。3位巨人とのゲーム差を3にまで広げ、貯金を16とした。

先発の高橋遥人投手(25)が巨人打線を相手に5安打13奪三振の投球内容でプロ初完封をマークした。140キロ台後半の直球に加えツーシーム、スライダーなどの変化球も冴えわたる。

硬軟併せ持った変幻自在の投球で、2回二死から4回二死までは、6者連続三振を記録。8回まで二塁すら踏ませぬ〝圧投〟で、球界を代表する右腕・菅野との投げ合いを制し2勝目を手にした。

3―0と3点をリードして迎えた最終回は、巨人打線が意地の粘りを見せ一死満塁のピンチを迎えた。胃がキリキリとするような緊張感の中、丸を空振り三振、亀井を右飛に打ち取りゲームセット。伝統の一戦で自身の真価を証明した。

試合後には当然、ヒーローインタビューを受けることに。「(9回のピンチは)なんで最後はこうなるのかなあと思って投げていたんですが…。しっかり締めることができて滅茶苦茶うれしかったです。1点もやりたくない、完封したかったのでその通りになって良かったです」と笑顔を見せた。

試合中に漂わせていた鬼神のような気迫や緊張感はどこへやら。マウンドを降りれば、〝近所のアンちゃん〟のような柔和な若者に戻る。インタビュアーから「16年ぶりのリーグ制覇へ向け力強い一言を」と問われても「あっ…。えー…、しっかり貢献できるように頑張ります」と〝噛み噛み回答〟でスタンドの虎党をホンワカとした笑いで包んだ。

9回を投げ切ったことで、疲労気味のブルペン陣を休ませることもできた。矢野監督も「あいつは普段本当におとなしいんだけどね。マウンドに上がるといい意味で人が変わる。気迫も出るしチームに与える影響は大きい」としつつ「申し分のない投球。どの球種でも空振りが取れていたので、バッターも的を絞れないよね。それが奪三振の多さにもつながっていた」と背番号29を絶賛した。

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