「救急搬送困難」3カ月で180件 コロナ影響 長崎、佐世保消防 県議会総務委

 長崎県は30日、患者の搬送先がすぐには決まらない「救急搬送困難事案」が9月26日までの約3カ月間に、長崎、佐世保両市消防局の管内で計180件に上ったと明らかにした。いずれの消防局でも前年同期を上回っており、今夏の新型コロナウイルスの感染拡大や病床逼迫(ひっぱく)が影響したとみられる。
 県議会総務委員会で宮本法広副委員長(公明)の質問に宮崎良一消防保安室長が答えた。
 救急搬送困難事案は、救急隊が医療機関に患者受け入れが可能かどうか4回以上照会し、現場到着から搬送開始まで30分以上かかったケースが対象となる。
 県によると、長崎市消防局管内(同市、西彼長与、時津両町)は前年同期比1.5倍の76件。このうち37度以上の発熱や呼吸困難などの症状があり、新型コロナ感染が疑われる事案は24件だった。1週間のピークは7月26日~8月1日の12件で、9月26日までの直近1週間は5件だった。
 佐世保市消防局管内(同市、西海市、東彼東彼杵、川棚、波佐見3町、北松小値賀、佐々両町)は前年同期比1.2倍の104件。うちコロナ感染疑いは20件だった。1週間のピークは8月24~30日の18件で、直近1週間は11件だった。
 宮崎室長は「搬送困難が原因で患者が重篤に陥ったとの報告は受けていない」と述べた。
 また県は離島のコロナ患者を本土の病院に搬送する際、従来の海上自衛隊のヘリと長崎海上保安部の巡視船に加え、県防災ヘリを活用できる体制を整えたと明らかにした。

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