「アイル 、ありがとう。」 海きららに献花台 思い出の品も展示 17日まで

花束や思い出の品などが供えられているアイルの献花台=佐世保市、海きらら

 9月13日に死んだハンドウイルカのアイル(2歳、雄)の献花台が、飼育されていた長崎県佐世保市鹿子前町の九十九島水族館(海きらら)に設置されている。献花台には市内外の来館者などから寄せられた多くの花束や手紙などが供えられている。
 アイルは人工授精で妊娠したハンドウイルカのニーハが、2018年9月27日に出産した。人工授精での出産成功例としては国内4例目で同館としては初。2週間後には3歳の誕生日を迎える予定だった。
 病理解剖検査の結果、腸間膜の欠損と大腸の腸閉塞(へいそく)が見られ、死因は腸閉塞の影響によるショック死が考えられるという。腸間膜欠損や腸閉塞の原因は不明で、細菌検査などを継続し、より明確な死因を調査する。
 献花台には、アイルが生前遊んでいたボールのおもちゃやエサボックスなど思い出の品も展示。誕生日イベントに向け、担当職員らが制作していたアイルの写真を80枚ほど貼った等身大のパネルも置かれている。
 来館者からの手紙には「これからも何度も、いつでも会えると思っていたのでとても寂しいし残念」「天国でも元気に泳いでね」といった言葉がつづられている。
 人工授精の取り組み開始時から携わり、出産、育児、トレーニングでアイルを見守ってきたイルカトレーナーの佐藤瞭一さん(28)は「献花台に供えられた花などを見て、アイルがたくさんの人に見守られていたことを改めて感じた。初めてのことばかりで全てが手探りで、この3年間は決して平たんではなかった。一緒に頑張ってくれたアイルに感謝している」と悼んだ。
 献花台は10月17日まで同館エントランスに設置する。


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