岸田内閣発足 県内政党反応 与党 リーダーシップ評価、野党 「聞く力」存分にと皮肉

 4日に発足した岸田新内閣について、長崎県内の与党関係者は「短期間で人事を取りまとめ、党内におけるリーダーシップは確認された」と評価し、国政の課題解決に期待を寄せた。一方、野党側は各派閥への配慮が過ぎるなどとして「『聞く力』が存分に発揮された内閣」と皮肉った。
 自民党県連の山本啓介幹事長は、経済安全保障や、こども庁創設に向けた担当相の新設などに「現実的な問題を改善していく意気込みを感じる」と強調。「国民の評価は次期総選挙で判断される。具体的に解決する政策を国民に示してほしい」と要望した。
 公明党県本部の川崎祥司幹事長は、国交相に就任した同党副代表の斉藤鉄夫氏について「(同党の)赤羽一嘉氏と代わったが、引き続き九州新幹線長崎ルートの全線フル規格を力強く進めてほしい」と要望。新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けている観光業界の立て直しも求めた。
 野党側は、岸田氏が党総裁就任時に「生まれ変わった自民党を国民に示す」としていた点の実行性を疑問視。立憲民主党県連の赤木幸仁幹事長は、若手の登用などを一定評価しつつ「いろんな人の声を聞き過ぎて、リーダーシップは見えない。(岸田氏が売りとする)『聞く力』が存分に発揮された内閣だ」と皮肉を込めた。
 国民民主党県連の深堀浩幹事長は13人の初入閣などで「変わったとアピールし国民の目先を変えようとしている」と分析。「党幹部人事に安倍元首相の影がちらつくなど、権力の中枢は変わっていない」と指摘した。社民党県連の坂本浩幹事長は「派閥間のバランスを考慮した安倍氏らの傀儡(かいらい)政権だ」と断じた。
 共産党県委員会の山下満昭委員長は、原発を所管する経済産業相に細田派の萩生田光一氏を起用したという意味で安倍路線の継承だと強調。「政権交代しない限り、国民の命と暮らしは守れない」と語気を強めた。
 中村法道知事は、岸田氏にはこれまでも県政推進に尽力してもらったとし、「本県は新幹線開業やIR誘致など大型プロジェクトが進行中。首相の地元広島と同じ被爆県として被爆者援護施策のさらなる充実を図る必要がある。なお一層の力添えをいただきたい」とするコメントを出した。

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