箱根山の山体膨張止まる「活発化していない」 ガスの成分一部に変化も

活発な噴気活動が続く箱根山・大涌谷。火山灰などの突発な噴出には引き続き注意が必要という=5日(東海大理学部大場武研究室提供)

 箱根山(神奈川県箱根町)で7月頃から観測されていた山体膨張の地殻変動が、停滞に転じたことが分かった。この間、地震の増加などはみられず、気象庁は「火山活動は活発化していない」と判断。噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)を維持している。

 同庁は今月公表した箱根山の活動概況で、山体膨張について「8月頃から停滞し、その後、顕著な地殻変動は観測されていない」と報告した。

 地下のマグマの変化などを示唆する山体膨張は、近年の火山活動活発化の際にみられた現象。箱根山周辺にある地殻変動観測装置(GNSS)が一部地点間のわずかな伸びを捉えていたが、同庁は「今回は変動量が小さく、その他の観測データにも変化はない」と指摘している。県温泉地学研究所も同様の見解だ。

 一方、今月5日に大涌谷で火山ガスの定点調査を行った東海大の大場武教授は「ガスの成分の一部に変化が出ている。引き続き注意が必要」との認識を示す。

© 株式会社神奈川新聞社