「本日も休診」11月舞台化 「那須の山医者」見川鯛山さん著書が原作

見川さんの息子である泰岳さん(右)と柄本。生前の見川さんについて対談し、話は絶えなかった

 「那須の山医者」として知られた作家、故見川鯛山(みかわたいざん)さん(1916~2005年)。見川さんの著書「田舎医者」などを原作とした新作舞台「本日も休診」が11月12日、東京の老舗劇場「明治座」で始まる。主役を演じる俳優柄本明(えもとあきら)(72)は以前から見川さんの著書を読んでおり、「医者でありながら作家でも活躍したすてきな先生。一生懸命演じたい」と意気込んでいる。

 物語の舞台は昭和40年代の那須。広大な自然を背景に、型破りな医者・見川鯛山と個性豊かな住民たちとの交流を描く。見川の妻役は、明治座初出演の花總(はなふさ)まりが演じる。

 柄本が見川さんを知ったのは「以前、友人の那須の別荘へ遊びに行ったとき、たまたま見川先生の本を見つけて読んだ」のがきっかけ。エッセーなどから「偉ぶっていなくていい。すてきな生き方をしている。おおらかな感じがした」と惹(ひ)かれた。所属事務所などからサポートを受け、希望だった舞台化を実現させた。

 共演する笹野高史(ささのたかし)や佐藤B作(さとうびーさく)とは同じ劇団の出身。3人で共演するのは初めてで、柄本は「なかなかないメンバー。まるで同窓会みたいでしょ」と笑う。

 役作りの一環として柄本は今月4日に来県。見川さんの娘で那須町在住のイラストレーター米倉万美(よねくらまみ)さんがさくら市で開いた作品展や、息子の泰岳(たいがく)さんが院長を務める那須町湯本の見川医院を訪れ、足跡をたどった。

 ◆ズーム◆ 見川鯛山(みかわたいざん)(本名・泰山(たいざん)) 安蘇郡植野村(現佐野市)出身。1942年、当時無医村だった那須町湯本に見川医院を開業した。地域医療に力を注ぐ傍ら、小説などを執筆。主な著書に「医者ともあろうものが…」「本日も休診」「山医者シリーズ」などがある。

生前の見川さんの仕事ぶりなどについて話す泰岳さん(右)と柄本
舞台「本日も休診」

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