通信使の写真・資料500点 対馬の歴史館へ寄贈 長崎の写真家 仁位さん

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対馬朝鮮通信使歴史館に写真や資料を提供した仁位さん

 江戸時代、朝鮮王朝が日本へ派遣した外交使節団「朝鮮通信使」に関連した写真を約30年にわたって撮り続けている長崎市の写真家、仁位孝雄さん(80)が、今月30日に対馬市内で開館する対馬朝鮮通信使歴史館に撮影した写真など約500点を寄贈した。
 仁位さんは同市厳原町出身。県立対馬高を卒業後に県庁に就職した。元々、写真撮影が趣味で、1989年に地元の県対馬支庁(現・県対馬振興局)に赴任したことを機に「過疎化している対馬のPRにつなげよう」と、通信使をテーマにした撮影を始めた。
 当時はまだ通信使は広く知られる存在ではなかったが、日本では「街道ブーム」が広がっていた。仁位さんは通信使が通った対馬には「大街道がある」と考え、通信使をテーマに設定したのだった。
 撮影のために関連資料をかき集めたほか、通信使に詳しい日韓両国の学者らを訪ね歩き、朝鮮通信使についての見聞を広め、撮影スポットも教えてもらった。
 仕事の合間などに韓国を幾度となく訪ね、対馬藩の儒学者、雨森芳洲と関わりの深い朝鮮側の通訳・玄徳潤の墓などを撮影。対馬では通信使の宿泊施設としても使われていた対馬藩主・宗家の居城である金石城、毎年対馬市内で日韓市民によって再現される朝鮮通信使行列などを撮った。今日に至るまで、1万点超の写真を撮りためた。

朝鮮通信使で通訳だった玄徳潤の墓=韓国・密陽市(仁位さん提供)

 歴史館は、観光客誘致や郷土学習などにつなげようと市が整備。仁位さんは、役に立ててもらおうと写真約220点のほか、通信使が来日した際の記録の翻訳、紀行文など関連資料約250点を寄贈した。比田勝尚喜市長は写真について「見た目にもよく、素晴らしい。パネルなどにして館内で展示できるのではないか」と話す。
 2019年には政治問題により日韓関係が悪化。現在は新型コロナウイルスが重い影響を及ぼす。仁位さんは「ことあるごとに日韓関係はギクシャクしているが、(両国民には)お互いのことに興味をもってほしい。提供した写真を、歴史館を訪れる人たちに見てもらい、先々の日韓交流につながってほしい」と願っている。

日韓両国の市民によって再現された朝鮮通信使行列=2006年、対馬市厳原町(仁位さん提供)