きょう投開票

 リモート(遠隔)、クラスター(感染者の集団)、会議や飲み会などが○○に入る「オンライン○○」と、コロナ禍で世に広まった横文字は挙げると切りがないが、耳慣れない造語もある。静かに食べる「黙食」、浴場で会話を控える「黙浴」…▲人にはものを「言う口」と「食べる口」がある。何かにつけて声を出さないよう勧められ、「言う口」をつぐむことが増えた。飲食店がやむを得ず休業したり、営業時間を短くしたりで「食べる口」が満たされない時期も続いた▲「今のところは」と前置きして言うが、感染の拡大が抑えられ、飲食店はいくらかにぎわいを取り戻しているように見える。予防の策を抜かりなく、このまま緩やかに活気づきますように▲言う口、語り掛ける口、訴える口はさて、どうだろう。「超」が付く短期決戦となった衆院選はきょう投開票される。日本の、長崎県の「これから」は語り尽くされたか▲コロナの影響で候補が集会を開けず、熱気に欠けるともいわれた。「成長と分配」という経済の回し方を巡る政党の主張が、見分けにくいともされた。選択に迷う向きもあったのでは、とお察しする▲迷った末の一票も、意中の人や政党名を迷わず記す一票も、等しく有権者の意思であり、声でもある。「言う口」をもう閉ざすまい。(徹)

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