〈新人激突の軌跡 上越市長選、市議補選〉②中川氏 「現場主義」が結実  細かく回り支持拡大

 元市議の中川幹太氏(46)は、平成29年の前回市長選で現職の村山秀幸氏に1462票差で惜敗したが、4年後に向けてすぐに切り替え、昨年7月には正式に出馬表明した。前回同様、特定の政党や業界、団体に頼らない「草の根」的な活動を展開し、12年ぶりの誕生となる新市長の座をつかんだ。

集まった支持者らとグータッチを交わす中川氏(10月28日、高田地区)

 有権者に再三アピールした「現場主義」は、活動のスタイルに色濃く表れていた。「『細かく、よく回って、軒先まで行きたい』というタイプ」(元市議の水澤弘行・選対事務局長)という中川氏のきめ細かい個別訪問には、選対幹部も舌を巻く。

 選挙戦に入ってもそうした姿勢はぶれず、あいさつ回りを徹底し、街頭演説は数えるほど。最終盤では急きょ予定を変更し、事前に決めていた街宣コースではなく、自身が「回り切れていない所」へ向かい、支援の輪を広げた。中川氏は「事務局体制がしっかりとしたことで、安心して任せ、より出られるようになった」と話し、内と外の役割が機能していた。

 10月8日に政策協定を結んだ元市長で現市議の宮越馨氏のバックアップも奏功。個人演説会では応援弁士として熱弁し、有権者を引き込んだ。中川氏は「(宮越氏の協力は)非常に助かった」、水澤事務局長は「宮越さんが人を呼んでくれた、というのも(勝因に)あったと思う」と感謝を口にする。昨春の市議選でトップ当選を果たすなど根強い「宮越票」も見込まれた。

 当選直後、中川氏は「ここまでやってこられたのは、本当に皆さんのおかげ。大きな組織に頼らなくても勝てることが実証された」と支援に感謝した。秋山三枝子選対本部長は「本人の努力に尽きる。やはり、回った数」、宮越氏は「(中川氏の)地道な運動が勝因になったと確信している」とたたえた。

 地道なあいさつ回りが実を結び、上越市となって最年少で市長の座に就く。9日から、中川市政がスタートする。

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