雲仙・小地獄温泉館きょう再開 土砂災害で犠牲、森さんの願い引き継ぐ

久しぶりに浴槽にためる温泉の湯加減をみる長橋総支配人=雲仙市小浜町雲仙、小地獄温泉館

 8月に長崎県雲仙市の雲仙温泉街を襲った土砂災害の影響で休業していた温泉浴場「小地獄温泉館」が5日、営業を再開した。近くで土砂に巻き込まれ犠牲になった森保啓(やすひろ)さん=当時(67)=ゆかりの施設で、関係者は「森さんも喜んでくれるはず」と張り切っている。
 同館は宿泊施設「雲仙温泉 青雲荘」の別棟の日帰り浴場。趣ある木造建築で、裏手に湧く硫黄泉を掛け流しにした白濁の湯は、地元住民や行楽客に親しまれてきた。
 土砂災害では、近くの家屋2棟が押し流され、かつて青雲荘の支配人だった森さんら家族3人が亡くなった。被災家屋の下手にある青雲荘にも土砂が流れ込み休業。同館に被害はなかったが、従業員が青雲荘の復旧作業に掛かりきりとなり営業できなくなった。
 青雲荘は土砂の撤去を終え、来年3月中旬の改装オープンに向け準備中。同館は利用客からの要望が増えたため一足早く再開する。
 青雲荘の長橋慶治総支配人(61)は、同僚だった森さんから役職を引き継いだ。「青雲荘を早く復旧させて、温泉でお客さまの疲れを癒やすことが、森さんの一番の願いのはず。温泉館だけでも先に再開できて良かった」と話している。
 営業時間は午前9時半~午後7時。入浴料金は中学生以上460円、小学生以下230円、3歳以下無料。問い合わせは同館(電話0957.73.3273)。

© 株式会社長崎新聞社