究極目標「本盗できる選手育てたい」 ポニー千葉ジャガーズが掲げる“セオリー度外視”

1試合5盗塁含む18安打14得点で大勝した千葉ジャガーズ【写真:川村虎大】

チーム全体で1試合5盗塁「積極性を褒めてあげたい」

秋空に快音に次ぐ快音を響かせた。7日に行われたポニーリーグ(中学硬式野球)の関東連盟秋季大会(新人戦)決勝。千葉ジャガーズは14-4で羽田アンビシャスに勝ち、優勝を果たした。18安打14得点の大勝だったが、松本範夫監督が褒めたのは打撃ではなかった。

「打つ方は水物ですから。マグレです(笑)。それよりも選手らの積極性を褒めてあげたいです」

初回2死満塁で、6番・星野佳祐外野手が走者一掃の中越え適時三塁打を放って3点を先制。終わってみれば、先発野手全員安打の猛攻だった。ただ、それ以上に足を絡めて5盗塁を決めたことが、攻撃の波を増幅させた。

松本監督は言う。「走る野球が大好きなんです」。常にナインに盗塁の意識を説いてきた。失敗しても、牽制で刺されても、“ミス”とは捉えない。この日も3回に遊ゴロの間に三塁走者・星野が本塁を狙ってアウトになり、4回には2番・齊藤健大内野手が三盗に失敗したが、選手たちに「全然問題ない」と話した。

優勝した千葉ジャガーズナイン【写真:川村虎大】

来年3月の「全日本選抜中学硬式野球大会」に関東1位で出場

“走る野球”を徹底しているのには理由がある。「何をするか分からないって怖いじゃないですか。それに、大事な場面でミスを怖がらなくなります」。果敢な姿勢こそが、決勝という大舞台での大勝につながったと考える。

究極の目標は「ホームスチールができる選手を作りたいんですよね」。高校進学後に本盗を決めた選手はいたが、ポニーリーグ在籍期間に決めた教え子はいまだいないという。「セオリーを度外視した方が面白い。もっと挑戦して欲しい」と期待する。

来年3月に沖縄で行われる「全日本選抜中学硬式野球大会」に関東1位で出場を決めた千葉ジャガーズ。全国の舞台でも、足でダイヤモンドをにぎわせてみせる。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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