みんなで平和学習を 毎月「9の日」に集う場誕生 対面、オンライン併用し幅広く議論

オンラインで開いた10月の「みんなの平和学習会」の一場面

 「子どもからお年寄りまで平和教育を」―。長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の特任研究員らが、10月から毎月9日に原爆・平和について学び、語り合う「みんなの平和学習会」を始めた。ジェンダーなど社会問題についても幅広く議論する。対面とオンラインを併用し、平和活動に取り組む広島市のカフェとも連携。「9の日」に平和を語り合う新たな場が被爆地長崎に誕生した。

■新たな発見

 企画したのは、7月からレクナに特任研究員として採用された林田光弘さん(29)と、長崎大大学院後期博士課程2年の橋場紀子さん(50)。平和活動などを通して10年来の親交がある2人だ。
 広島市では、平和記念公園近くのブックカフェ「ハチドリ舎」が毎月6の付く日に、被爆者と対話できる会を開いている。2人は、長崎も同じ被爆地なのに小中学校や高校卒業後は被爆者の話を聞くなど平和学習の機会が少なく、「長崎にも集う場が必要」と考えていた。
 8月に長崎で再会したのを機に、学習会が実現。ハチドリ舎も共催することになった。
 学習会のテーマは必ずしも「原爆」だけではなく、ジェンダーや反核活動、教育など多様なテーマと合わせて開催していく方針。「社会問題など多様な視点を通して『8月9日』を見ると、新たな発見があるはず」と林田さん。橋場さんは「平和などに対していろいろな考えを持つ人が、互いに議論し、考えを深められる場になれば」と期待する。

■議論が続く

 初回の10月9日はオンラインのみの開催で、国内外から約40人が参加。長崎の平和教育をけん引してきた元小学校教諭の山川剛さん(85)が、被爆体験や現場で平和教育にどう向き合ってきたかを資料を示しながら紹介した。参加者から「被爆教師がいない今の教育現場をどう見ているか」などの質問が上がり、議論が続いた。
 今後の学習会の予定などは「みんなの平和学習会」のフェイスブックページで発信する。来年7月まで開く予定。参加無料。
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 11月は長崎原爆の被爆者で、原水禁共同議長の川野浩一さん(81)が、被爆体験と反核・平和運動をテーマに出演する。長崎市茂里町の長崎ブリックホールで午後7時から。会場の定員は20人。オンラインでも参加できる。

オンラインで参加者からの質問に答える山川さん(右)と、学習会を企画した林田さん=長崎市

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