韓国紙「古鉄価格暴騰で各国が輸出規制」「日本が戦略物資化すれば韓国産業に広範なダメージ」

古鉄(鉄スクラップ)の価格が世界的に高騰し、各国では輸出制限もかけられるようになっているが、日本などから古鉄を輸入する韓国では、日本が戦略物資化することを恐れる見方が出ている。

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韓国経済新聞は7日、『日本に割増金あげて買うほど…ゴミ扱いだった古鉄の逆襲』という記事を掲載し、古鉄をめぐる韓国の苦境と不安を伝えている。

同紙は古鉄(重量A)が13年ぶりにt当たり60万ウォン(約5.7万円)を突破したことを取り上げ、「暴騰の様相をみせている」と伝えた。これは昨年12月平均(約31万ウォン)の2倍に迫るレベルだ。これは世界的な現象だ。韓国でここまで古鉄が上昇するのは2008年の北京五輪前の大規模建設で高騰したとき以来だという。

古鉄が高騰するのは炭素排出削減のためだ。これまで鉄鉱石を航路で燃やし鉄を生産してきた鉄鋼産業のやり方が「温室効果ガス排出の主犯」のように扱われるや、鉄鋼産業は鉄鋼の代わりにリサイクル原料で古鉄の利用料を増やした。それによって炭素排出量は半分以下に減るとされる。その結果「需要爆増で品薄まで予想されるや、ロシアやマレーシアなど古鉄生産国は輸出制限に乗り出し、障壁を高めている」と韓国経済新聞と指摘する。

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韓国は現在、年間400~600万トンほどを日本や米国などから輸入しているが、輸入価格はすでにt当たり70万ウォンを超えており、さらに上昇するとの見方から、現代製鉄やポスコなど韓国鉄鋼業界は調達を急いでいると同紙は伝えた。

しかし、韓国経済新聞は、古鉄が鉄鋼産業の核心原料として浮上するなか、「中国、ロシア、日本などが鉄を戦略物資化しようとする動きが捉えられ、《供給大乱》に広がる可能性も台頭している」と指摘する。

ロシア主導で設立されたユーラシア経済連合は、6月からスクラップ輸出禁止を内容とした法案の導入を議論中だ。古鉄に適用される輸出関税は6月t当たり15ユーロから70ユーロまで引き上げられた。また、マレーシアも今年に入り、古鉄に15%の輸出税を導入した。

韓国経済新聞は「米国と日本はまだ輸出規制に乗り出していないが、業界ではこれらの国家も自国の需要物量確保のための措置を行うと見ている」という。

「鉄は産業の米」という言葉があるとおり、その影響は甚大だ。韓国経済新聞は「今回の古鉄高騰の直撃弾を食らうのは一次的には建設業界」になるとし現代製鉄や東国製鋼が今月から建築用鉄筋などを(日本円換算で)3~5千円引き上げたことを伝えた。しかしその影響は建設だけに留まらず「自動車、造船、電子など鉄鋼製品を活用するメーカー全般に広範な余波を及ぼす」と指摘した。

同紙は「韓国の古鉄輸入依存度はさらに高くなるだろうが、代替案がない状況」であるとの専門家の見方を伝えている。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「尿素水に加えて古鉄も無いのか。鶏卵も無くなり輸入するのに税金1000億使うし…」

「すべての産業において化学と鉄鋼は基本なのだが、インフレが心配だ…」

「しかし現政権の成果って何だ?本当にむごたらしい」

「…脱炭素と脱原発を掲げる現政権がこれほどまでに準備が出来ていないとは本当に情けなく詐欺にあったような気持ちだ」

「不動産は暴騰、物価も暴騰、税金はガンガン使う左派によって韓国は滅ぶぞ」

「数十年前から日本と米国は古鉄資源で管理して最大限備蓄していた。20年前に日本の電気炉企業に出張したとき、韓国は国民1人当たりの古鉄保有量は何キロかという質問をされたことがある。その頃から彼らは国家次元で古鉄を管理していた」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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