長崎県2022年度予算編成方針 人口減対策に重点配分 知事選控え骨格予算

2022年度県予算編成のポイント

 長崎県は8日、2022年度当初予算の編成方針を発表した。事業のスクラップ・アンド・ビルド推進を図るため、引き続き政策的経費に前年度予算比30%減の予算要求基準(シーリング)を設けるなどして約12億円を捻出。2年目を迎える「県総合計画チェンジ&チャレンジ2025」の実現に向け、人口減少対策や来年秋の九州新幹線長崎ルート暫定開業プロジェクトなどに重点的に配分する。来年2月に知事選を控え、政策的経費を抑えた骨格予算とする。
 臨時的な対応が必要な新型コロナウイルス対策事業については、本年度同様に今後の感染状況や国の対策などを踏まえ、別途整理する。ポストコロナ社会も念頭に置き、デジタル化などに向けた環境整備や地域経済の活性化、雇用確保を推進。また、激甚・頻発化する自然災害から県民を守るための施策も充実させる。
 シーリングで捻出した約12億円は、「総合計画特別枠」として移住対策や若者・女性定着対策、九州新幹線長崎ルート暫定開業プロジェクトやカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の推進に向けた新規事業などに重点的に配分する。新規事業1件につき、1件以上を廃止する。
 県財政課によると、財源調整3基金の残高は20年度末で203億円。社会保障関係費増などで取り崩しが続き、ピークだった02年度(601億円)の3分の1程度に落ち込んでいる。中期財政見通しでは、22~24年度は基金の積み立てを見込む一方、25、26年度は公債費の増加で再び取り崩す見込み。県財政課は「厳しい財政状況。新型コロナの影響を十分に注視しながら、歳入歳出両面からの収支改善対策に取り組む。実質的な公債費の財政負担額を踏まえて投資事業の重点化・効率化を図りたい」としている。

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