坂本勇人は「こんな強引だったっけ?」 専門家が指摘した復調ポイントとCS突破条件

巨人・坂本勇人【写真:荒川祐史】

坂本勇人はCS3試合で通算12打数1安打「外角スライダーに手を出してしまっている」

■ヤクルト 4ー0 巨人(CSファイナル・10日・神宮)

巨人は10日、敵地・神宮球場で行われた「JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第1戦でヤクルトに0-4の完敗。アドバンテージを含め、巨人は0勝2敗となった。ファーストステージは阪神に2連勝して突破したが、今季覇者の壁は厚い。シーズン3位からの下剋上を狙っている巨人に、大逆転のシナリオは残されているのだろうか。

「短期決戦では大概、シリーズ男と逆シリーズ男が生まれます。今のところ、巨人で“逆男”の雰囲気を醸しだしているのが坂本。一刻も早く復調のきっかけをつかみたいところでしょう」。こう指摘するのは、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。

主将の坂本はこの日も「3番・遊撃」で出場したが、4打数無安打。9回無死一塁で迎えた最終第4打席は、真ん中低めのフォークに詰まって遊飛に倒れた。ファーストステージ2試合を含め、3試合で通算12打数1安打(打率.083)と振るわない。野口氏は「『坂本って、こんなに強引なバッターだったっけ?』という印象です。ストライクからボールになる外角のスライダーなどに、ことごとく手を出してしまっている」と首をかしげる。

左脇腹を痛めている主砲の岡本和真内野手は、ファーストステージに続いてこの日もベンチに入らず。「脇腹は何をするにも使う箇所で、無理をすると故障が癖になる恐れもある」と野口氏。巨人が巻き返すとすればなおさら、坂本の復調が不可欠だ

巨人・菅野智之【写真:荒川祐史】

菅野は2018年にCS史上初の大記録達成「勝つことは最低限、流れと雰囲気を変えたいところ」

一方、11日の第2戦の先発は、中4日の菅野智之投手だ。レギュラーシーズンは故障がちで6勝7敗、防御率3.19に終わったが、CSは6日の阪神とのファーストステージ第1戦で、7回98球2安打無失点の快投を演じた。

CSでの菅野の凄さは、野口氏も目の当たりにしたことがある。現役引退後の2018年、ヤクルトの1軍バッテリーコーチとしてリーグ2位躍進に貢献するも、3位の巨人とのファーストステージ第2戦では、先発した菅野にCS史上初のノーヒットノーランを食らったのだ。与四球もわずか1の“準完全”。この1戦であっさり敗退も決まった。

「アドバンテージを含めて0勝2敗となった巨人がここから巻き返すのは、かなりキツイ。菅野にとって、勝つことは最低限。願わくは、あの時のノーヒットノーランくらい圧倒的な投球で、流れと雰囲気を変えたいところです」と指摘する。

巨人には昨季まで2年連続リーグ覇者だった意地があり、2年越しの日本シリーズ8連敗という“借り”もある。CSの段階でそう簡単に敗退するわけにはいかない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2