べっ甲工芸品を長崎市へ 貴重な茶棚と鳥籠を「江崎べっ甲店」が寄贈

江崎べっ甲店が市に寄贈した「鼈甲茶棚」(長崎歴史文化博物館提供)

 昨年6月、創業311年の歴史を閉じた長崎市魚の町の「江崎べっ甲店」が、べっ甲工芸品2点を市に寄贈した。中でも、金具以外全てべっ甲製の「鼈甲(べっこう)茶棚」は現存するべっ甲細工では最大級といわれ、極めて貴重な資料という。
 茶棚と「鼈甲鳥籠(とりかご)・螺鈿(らでん)台」の2点で、来店者向けに店内の資料館で展示していた。江崎淑夫社長が閉店を機に「(市民に)広く見てもらいたい」と考え、昨年6月ごろ市に寄贈を打診していた。
 長崎歴史文化博物館によると、茶棚は3段で高さ約88センチ。6代目の江崎栄造氏が1923年ごろに製作した。当時皇太子だった昭和天皇ご成婚祝いの献上品の試作品として作られ、長崎べっ甲細工への高い評価を裏付けている。
 寄贈を受け、田上富久市長が11日、江崎社長に感謝状を贈呈。江崎社長は「アクセサリーやお土産のイメージがあるが、過去には立派な置物も作られていた。(べっ甲細工の)技術力をぜひ見てほしい」と話した。
 茶棚は来年1月16日まで、鳥籠は11月28日まで同館で公開している。

田上市長から感謝状を受け取る江崎社長=長崎市役所

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