敵地で19戦全勝チューに挑む井上岳志が〝ヒール上等〟の覚悟「ブーイングを力に変える」

ティム・チュー(手前左)とフェースオフを行う井上岳志(ワールドスポーツジム提供)

ボクシングWBOアジアパシフィックスーパーウエルター級王者でWBO世界同級6位の井上岳志(31=ワールドスポーツ)が〝ヒール上等〟の覚悟を見せた。

WBO同級グローバル王座戦(17日、オーストラリア・シドニー)で、王者でWBO世界同級1位ティム・チュー(27=オーストラリア)への挑戦を控え、16日の前日計量は69・68キロで一発クリア。チューは69・52キロでパスした。

計量後にオンライン取材に応じた井上は「いつも以上に体の調子はいい。試合が楽しみ。(フェースオフでは)相手のやる気が伝わってきた。明日は打ち合いになると感じた」と意気込みを語った。

チューは元世界統一スーパーライト級王者のレジェンド、コンスタンチン・チューの息子で、19戦全勝(15KO)の戦績を誇る。世界的に高い実力と知名度を持つ強豪だけに下馬評は不利だが、井上は「ホームではないので判定では勝てないと思う。KOを狙っていく」と一歩も引く気はない。

2019年1月の米テキサス州ヒューストンでの、当時WBO世界スーパーウエルター級王者だったハイメ・ムンギア(メキシコ)との王座戦以来となる世界戦線への浮上の大チャンスだが、試合は抜群の人気を誇る相手の地元開催。当然、完全アウェーとなるが「オーストラリアの人は優しくてジェントルマン。米国よりは戦いやすい」と意に介していない。所属ジムの斎田竜也会長によると、シドニーは新型コロナウイルス禍によるロックダウン解除直後のため、不透明な部分もあるとしつつも「2万人収容のホールが満員近くになると聞いている」とのこと。

それでも井上は「相手はオーストラリアのヒーロー。僕はヒールという形になると思う。仮に(観客が)全部ブーイングだとしても力に変えられる」ときっぱり。ヒールの底力で世界タイトルへの扉をこじ開ける。

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