MLB挑戦の広島・鈴木誠也が語った大谷翔平「あそこを目指そうとも思わない」 

晴れ晴れとした表情の広島・鈴木誠

さらなる高みへの第一歩を踏み出した。広島は鈴木誠也外野手(27)の米大リーグ挑戦を容認すると16日に発表した。同日の午前中に鈴木球団本部長と話し合いを行い、鈴木誠の意志を確認。ポスティング申請は来週中にもする見込みだ。数年前から大リーグへの思いを語っていた鈴木誠の挑戦がいよいよ始まる。

話し合いを終え、会見に臨む鈴木誠の表情は晴れやかだった。以前から球団に米大リーグ挑戦の希望を伝えていたと明かした上で「(自分が)レベルアップするための段階の中にメジャー挑戦というのがあった。その段階に僕自身が来たと思ったので『挑戦したい』と伝えました」と話した。

〝交渉相手〟の鈴木本部長から「(優勝した)2016年から貢献してもらった。その選手の夢をかなえてあげたい」と言葉をかけられたという鯉の主砲は「いろんな人が協力してくれて、僕が挑戦できる。しっかり覚悟をもってやっていきたいなと思います」と表情を引き締めた。

それでも抑えきれないうれしさがあふれていた。メジャー挑戦の決断時期を問われると「生まれた瞬間ですね」と回答。それから満面の笑みを浮かべて「ウソです」としたり顔だった。「黒田(博樹)さんが帰ってきて『(大リーグの)こういう選手を見てみろ』と言われて、その選手を見た時に衝撃を受けた」と明かした。

「こういう選手が世の中にいるんだと。こういう選手にも勝ちたいなという思いが強くなった。(自分と)年が近い選手やさほど年が離れていない選手がたくさんいた。そこからメジャーを見るようになりましたね」と続け「全体的にやっぱりレベルが高いなと思った」とも話した。

2018年に海を渡り、今季大活躍した同級生の大谷翔平投手(27)の存在も大きい。「テレビを見たら出てくるし、同級生としてやっぱりすごいなと思う。いち同級生として尊敬しています」と話しつつも、同時に負けず嫌いな一面ものぞかせた。「別にあそこを目指そうとも思わないし、自分自身がしっかり頑張れればなと」。

今年は東京五輪に出場し全5試合で4番に座った。また19年以来、自身2度目の首位打者と最高出塁率のタイトルを同時に獲得。それでも「走攻守、すべてが足りない」「全部が足りないので全部やるしかない」と話す鈴木誠が目指す高みはまだ先にある。

「常にうまくなりたいというのが普通だと思いますし、そういう気持ちで今までも野球に取り組んできた」

「もっともっと上で頑張りたい、もっとうまくなりたいという気持ちがより強くなってきたので、挑戦したいという気持ちになりました」

〝満足しない男〟は挑戦のスタートラインに立ち、さらなる飛躍を誓った。

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