将棋の日

 将棋や囲碁のタイトルホルダーは「○○名人」「△△碁聖」のように、保持しているタイトルがそのまま呼称・敬称になる▲通算のタイトル獲得数が99期に及ぶ羽生善治さんは、六段時代の1991年3月に「棋王」を獲得してから2018年12月に「竜王」を奪われるまで27年9カ月間、常に何かタイトルを持っていたため、段位で呼ばれたことがなかった▲史上最年少・19歳3カ月の四冠王誕生からわずか2日。将棋竜王戦七番勝負の主役の2人が昨日、新たなスタートを切った。強い人、勝っている人ほど忙しく、勝ちと負けしかない将棋界。快挙の興奮も失冠の落胆も、対局は待ってくれない▲藤井聡太さんの呼称は名人位と並んで将棋界で序列1位とされる「竜王」になった。昨日は、その名人戦へのステップとなる順位戦B級1組の8回戦。相手の勝負手を丁寧に受け止め、危なげなく勝ちきった▲藤井さんに敗れ、約3年ぶりに無冠となった豊島将之さんは初めて「九段」として将棋を指した。八大タイトルの一つ、棋王戦の挑戦者決定トーナメント準々決勝、するすると逃げる相手玉を的確に追い詰め、再起へ一歩▲超新星の快進撃は羽生さん以来の全冠制覇に続いているか、それとも誰かが止めてみせるだろうか。きょう11月17日は「将棋の日」。(智)

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