戦争の悲惨さ、後世に 佐世保・島瀬美術センターで「平和祈念展」

袖がない防寒外套を紹介する髙倉さん=佐世保市、島瀬美術センター

 第2次世界大戦で人々が体験した苦難を後世に伝える資料を集めた「平和祈念展in佐世保」が20日、佐世保市島瀬町の島瀬美術センターで始まった。28日まで。無料。
 総務省の委託を受け、同大戦における兵士、戦後強制抑留者、海外からの引き揚げ者に関する資料を常設展示している「平和祈念展示資料館」(東京都新宿区)が主催。全国で巡回展示しており、佐世保市での開催は初めて。
 会場には、シベリア抑留者が飢えに耐えかね袖の部分をパンと交換した袖のない防寒外套(がいとう)や、満州から引き揚げる途中、母親が娘に着せるために亡くなった赤ん坊の形見のおむつで作ったワンピースなど、当時の悲惨な状況を物語る計181点が並ぶ。
 このうち60点は「ご当地展示」で、同市針尾北町の市浦頭引揚記念資料館から借り受けた資料を中心に、浦頭に引き揚げた人々などの当時の様子を紹介。大連から浦頭に引き揚げた少年が、南風崎駅から東京に到着するまでの間に列車内で目にした光景をつづった作文や、引揚証明書など貴重な資料を展示している。
 平和祈念展示資料館の学芸員、髙倉大輔さん(34)は「終戦で全てが終わったわけではなく、引き揚げ者やシベリア抑留者など戦後も苦しい経験をした人々がいることを知ってもらいたい」と話した。
 21日は午後2時から、27、28の両日は午前11時から、同館学芸員による展示解説がある。

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