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長崎市文教町の長崎大中部講堂で21日、軍事研究などを巡る科学者の社会的責任をテーマに、識者らが意見を交わした。慶応大名誉教授の小沼通二氏(90)は、軍備を強化して防衛力を高める“外交力”を「(日本は)転換しなければならない」と指摘した。
核兵器廃絶長崎連絡協議会などが、日本の原爆開発の史実を基に若い科学者の葛藤を描いた「映画 太陽の子」の上映会を開催し、パネル討議した。
小沼氏はどこの国も「攻めてきたら反撃する」と言って軍備強化し、それを受け「軍備拡張の歴史が繰り返されている」と分析。軍備協力を結ぶのではなく、是々非々での付き合いで外交を展開し、日本の場合は「日本にある基地は日本の防衛以外には使わない」などと主張する必要性を指摘した。
NGO「ピースボート」の畠山澄子主任研究員は「国を守るためには武装しないといけない、守らなければ攻めてくるという論調」に対し、「私たちが自分たちの頭で考えられると示すのは個人の責任だと思う。科学者だけに社会的責任を押しつけてはいけない」と訴えた。
映画上映後、黒崎博監督は「被爆地長崎のみなさんに、どのように受け取られたか緊張感を持って見守った。今と未来に何を伝えていけるかを話しながらつくった作品」とあいさつした。パネル討議はオンラインで生配信し、会場と合わせて約110人が視聴した。