コロナ禍も給水量「横ばい」 石木ダム反対団体「水足りる」 佐世保市水道局 業務用低下で減収

© 株式会社長崎新聞社

佐世保市の給水量推移

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、同市は新型コロナウイルスを含む感染症対策で水源確保が重視され、「事業の必要性は高まる」と主張する。だが、コロナ禍が年中続いた2020年度の給水量は、外出自粛で生活用が増えた一方、経済活動の低迷で業務営業用が減り、全体量は前年度と同水準だった。ダムに反対する市民団体「石木川まもり隊」は「コロナ禍でも水は足りる。ダムの必要性は高まらない」と指摘する。
 給水量は毎年秋ごろ確定。市水道局によると、20年度の給水量は前年度比0.7%減の約2428万トンで、ほぼ横ばいだった。
 ただ、給水先はコロナ禍を反映。ステイホームの呼び掛けで市民の生活用は同2.8%上がった一方、業務営業用は同9.4%、工場用は同4.8%それぞれ下がった。時短営業要請に応じた飲食業や観光業などで給水が減り、景気の悪化が数字に表れた。
 佐世保市では昨年12月、主なダムの貯水率が75%を割った。同局は渇水に備えて市民に節水を求めるか検討したが、新型コロナの「第3波」の最中で、「うがいや手洗いなどの感染予防に逆行しないか」と懸念が出た。一定の雨が降るという予測もあり、結局、節水の呼び掛けは見送った。
 朝長則男市長は2月に本年度の施政方針を発表。石木ダム事業による水源確保について、感染症対策を含む公衆衛生の役割を明示し、「事業の必要性は高まる」と言及。国や県への施策要望書にも同様の主張を盛り込んだ。これに対し、市民団体は「コロナを利用して事業を進めようとしている」と反発した。
 給水量について、市民団体の松本美智恵代表は「水需要は増えておらず、コロナとダムは結び付けられない」と指摘。こうした見方に、同局は「水源不足は続いている。感染症対策で、ダムに求められる役割は変わらない」と反論する。
 一方、コロナ禍は水道事業に打撃を与えた。これまで市水道局の収益は人口減少と同様の割合で、毎年度1%程度ずつ縮小。だが、海外観光客が減り始めた19年度は前年度比2.1%、20年度は同1.5%とそれぞれ減少率が拡大。20年度の収益は前年度比で約8400万円少なかった。
 同市の水道料金は、節水を促すため、給水量が増えるにつれて単価が高くなるよう設定。コロナ禍で単価が高い業務営業用の給水が下落し、「減収の一因となっている」(同局)。
 減収に対し、松本代表は「今後、水道料金の引き上げにつながらないか」と不安視。「今考えるべきは、巨額を投じるダム事業を止め、支出を抑えることだ」と訴える。