大切なのは“褒め方” レッド吉田さん流、子どもの「やる気スイッチ」の入れ方

お笑いコンビTIMのレッド吉田さん【写真:編集部】

難しい子どもを褒めるタイミング「すねると練習にならない…」

高校時代に甲子園に出場したお笑いコンビ「TIM」のレッド吉田さんは、5人の子どもを持つ父親。現在、小学5年生の三男・運(めぐる)くんをプロ野球選手にする目標を掲げ、親子二人三脚で奮闘している。毎回、テーマを決めて、子育てや野球を指導する難しさなどを語ってもらう連載「レッド吉田の“巡る”野球界」。11回目のテーマは「やる気スイッチ」。子どもをやる気にさせる方法を聞いた。

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運をやる気にさせるのは単純です。褒めるのが一番。けなすとやりません。この段階で褒めたらいけないという時に褒めずに指摘すると、すねてしまいます。すねると練習にならないので、自分の中で負けを認めながら、褒めるようにしています。

大切なのは褒め方です。褒めるのは簡単なようで難しいですよね。練習中に運がいい投げ方をしたり、いい打球を飛ばしたりした時には「今のいいね!」とワントーン上げるようにしています。そうすると、運は満足げな顔をします。難しいのは、いつ、どんなところを褒めるかです。

この間、運が「ピッチング練習をしたい」と言ってきました。まだ横回転のボールは多いですが、たまにいいボールがきます。ラスト10球くらいになると、運がふてくされた感じになったんです。僕が「次、バッティングするか?」と言ったら、運が泣き始めました。こっちは何も怒っていません。「何があった?」と聞いても、何も答えずに「うー」とうなっています。そうしたら、運が「いいボールがいった時に何でナイスボールって言ってくれないの!」と怒り出しました。運が上手くいったと思った時に、僕の「ナイスボール」の声がなかったらしいんです。

「ごめん」と謝って「バッティングやろう。嫌ならやめるけどどうする?」と聞いたら、「やるよ!」と怒りながら始めました。バッティング練習で、いい打球が飛ぶと「ナイスバッティング」と声をかけながら続けていくと、徐々に運のスイッチが入ってきて「今のは良かったよね」と自分から言ってきます。日々、こういうことの繰り返しですね。

前進と足踏みの繰り返し「感情的にならず、焦らないように」

あとは、自主性が育つように運の「やる気スイッチ」が入るまで待つようにしています。例えば、練習できる時間が空いていても、こちらからは何も言いません。運が「練習してくる」、「一緒に練習しよう」と声をかけてくるのを待ちます。運は7月に腰を痛めて、その後に突き指をして、まともな練習が1か月くらいできない時期がありました。復帰してすぐの練習試合では当然、打てません。僕が「この1か月練習量が少なかったか?」と聞いたら、運はうなずきます。「どうしたらいい?」と続けると「練習した方がいいと思う」と答えます。その時に「よし、練習やるぞ」ではなく、「いつでも手伝うから言ってくれ」と伝えます。

この間は寝る前に「パパ、朝練やるから」と言われたので「よし、付き合うよ」と喜んで返しました。「何時に起きる?」と聞いたら、運は「6時半だとダラダラするから、6時でいいと思うんだ」と言いました。翌朝、運は7時半まで寝ていました(笑)。起こさなかったですけどね。習慣はすぐに身に付かないので、歯磨きのように、やらないと気持ち悪くなるまで、前進と足踏みを繰り返しながら続けていくしかないですね。感情的にならず、焦らないようにしています。

何が正解かは分かりませんが、それぞれの子どもに個性があり、親が一番分かっていると思います。そこをうまく生かして、やる気を出させます。周りからは過保護と言われるかもしれませんが、全く構いません。僕は正解だと思ってやっていて、責任を取る覚悟を持っています。100点満点の父親は、なかなかいないと思います。

○プロフィール
レッド吉田 1965年10月30日生まれ、京都府出身。名門・東山(京都)で1983年の夏の甲子園に出場する。ゴルゴ松本とともにお笑いコンビ・TIMを結成し、バラエティ番組で人気に。野球が大好きで、5児の父としても奮闘中。三男・運(めぐる)くんをプロ野球選手にするために立ち上げたYouTubeチャンネル「レッド吉田の野球子育て奮闘記~めぐる巨人への道~」を開設中。

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