48歳で住宅ローンを組んだ共働き男性。3歳と11歳の子ども2人の学費を賄える?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、48歳、会社員の男性。48歳で住宅ローンを組んだ相談者。完済予定は80歳。ローンを支払いながら、3歳と11歳の子どもの教育費を賄えるのか心配されていますが……。FPの渡邊裕介氏がお答えします。


48歳で2,850万円の住宅ローンを組みます。3歳と11歳の娘がいますが、これから2人の学費が貯められるか心配です。ちなみに今現在は毎月赤字です。

住宅ローンは物件購入額3,300万、借入金2,850万、金利0.9%、返済期間32年、3カ月後スタートです。

【相談者プロフィール】

・男性、48歳、技術職

・妻(パート)、娘2人(3歳、11歳)

・住居の形態:賃貸(宮城県)

・毎月の世帯の手取り金額:36万円(夫23万円、妻13万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:150万円(夫100万円、妻50万円)

・毎月の世帯の支出の目安:39万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:8万円

・食費:11万円

・水道光熱費:2万円

・教育費:5万5,000円

・保険料:2万1,000円

・通信費:1万5,000円

・車両費:2万円

・お小遣い:4万円

・その他:2万9,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:0円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):1,300万円

・現在の投資総額:0円

・現在の負債総額:2,850万

・ボーナスからの年間貯蓄額:16万円

・老後資金:公的年金不明

・退職金:1,000万

渡邊:こんにちは、ファイナンシャルプランナーの渡邊です。これから組む住宅ローンを返済していく中での教育費準備のご相談です。現在の生活は毎月赤字で、ボーナスから補てんしている生活のようです。教育費として、いつまでにいくらを準備する必要があるかを整理しながら、生活費と貯蓄のバランスを考えていきましょう。

教育費はギリギリ賄えるが、老後資金の貯蓄は難しい

まず、一番心配されている教育費準備ですが、当然お子さんの進路によって準備が必要な額が変わってきます。

現段階で公立に行くか、私立に行くかなどの進路を想定し、どれくらいの教育費準備が必要で、今からいくら貯めていく必要があるのかどうかを試算しなければなりません。

小学校から高校まで公立だと想定した場合、月々の負担にならすと、お子さん1人当たり大体3~4万円/月程度になりますので、お子さん2人だと6~8万円/月程度はみておく必要があります。現在の教育費が5.5万円/月、年間貯蓄が16万円(ボーナス)ですので、今の収入と教育費以外の生活費が変わらないと仮定して、ぎりぎり教育費がまかなえる計算になります。

年間の家計の収支から、教育費に費やせる金額が、頑張って年間100万円だとすると、大学は私立文系だとして、1人当たり大体500万円×2人=1,000万円の準備が必要となります。現在の貯蓄が1,300万円ですので、ほぼ教育費に使うことになります。

教育費以外にも、住宅ローンの返済や老後資金準備を考えると、今のままの生活をしていくと、余裕のあるリタイア後の生活は難しそうです。

老後資金を貯めるためには「強制貯蓄」を

注意点は、下記2点です。
〇下のお子さんが大学卒業時に相談者は67歳
〇住宅ローン支払いが相談者が80歳まで続く

ご相談者の場合、何歳まで働けるかによりますが、お子さんの教育費が終わってから、ご自身達のリタイア後の生活準備をすることが出来ません。

金利が変わらない想定で、65歳時点での住宅ローンの残債が約1,400万円程度ですので、退職金では足りないことになります。

今のうちから、生活を改善して、少しでも将来に向けての貯蓄をできる状態にしていかないと、おそらく大学は奨学金を活用するなどしないと、生活が成り立たなくなることが予想されます。

毎月赤字生活の方が貯蓄体質にするために必要なのは「強制貯蓄」の仕組み作りです。ご相談者の毎月の家計の内訳を確認すると、食費が11万円/月と家族の人数やお子さんの年齢を考えると、多めの金額となっています。手元に使えるお金があるとつい使ってしまい、外食費やレジャー費なども多くなりがちです。今は良いかもしれませんが、これから教育費負担が上がることを考えると、今から抑えておくことも重要です。

その為にも、強制的に貯蓄に回す仕組み作りをしていきましょう。

「収入―生活費=貯蓄」で生活していると、つい生活費が多めになってしまい結果的に貯めることが出来ない方が多いです。「収入―貯蓄=生活費」とすることで、必要な貯蓄を先に引いてしまい、残りで生活をしていくことで、確実に貯めていくことが出来ます。

様々な仕組みを活用した「強制貯蓄」

特にご相談者の場合は、月々の生活費が赤字でボーナスもほぼ使い切っています。教育費負担が重くなる前に生活の改善をおススメします。

強制貯蓄の方法としては、銀行の自動積立定期やお勤め先に財形貯蓄などがあれば、毎月定額を別口座で積み立てていくことが出来るので効果的です。また、貯蓄性の保険の活用もひとつの選択肢ですが、保険の種類によって利率や期間などが様々なので、貯蓄の目的によって積み立てる金額設定を間違えないようにすることが重要です。

現在のご相談者のご年齢や下のお子さんの年齢を考えると、今から10年が貯蓄出来るチャンスです。その後は、中高と大学が重なる時期に入るので、貯蓄を取り崩す期間となる可能性が高いでしょう。

住宅を購入し、これからの新居生活が楽しみな時期だと思います。だからこそ、生活を見直し、今だけでなく将来に向けて安心な生活が出来るようにしていきたいところです。必要な経済的目標に優先順位を付け、教育費や住宅ローン返済、老後資金準備をするために、貯められる仕組み作りをしていきましょう。

漠然と不安になるよりも、細かくシミュレーションすることから

60歳以降の働き方(収入)や公的年金で受け取れる額の試算、夫婦2人で必要な生活費などを想定した上でより細かくシミュレーションを作成すると、明確な貯蓄額の目安が出てきます。漠然と不安を抱えながら生活するのではなく、具体的なシミュレーションを作成し、貯蓄計画を立てることで、日々の生活に安心が生まれ、結果的により充実した生活に繋がります。ぜひ、住宅購入を良い機会としてください。

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