広島・鈴木誠也「敏腕代理人」とタッグでMLB挑戦へ ダル、マエケンも信頼する “実績” とは

代理人も決定した広島・鈴木誠(東スポWeb)

ポスティングシステムでの米球界移籍を表明した広島・鈴木誠也外野手(27)が、米大手代理人事務所「ワッサーマン・メディア・グループ」と契約したことを22日(日本時間23日)に発表。今後は同グループの野球部門トップの代理人であるジョエル・ウルフ氏(51)が米球団との交渉を担当する見込みだ。

同氏は顧客にスタントン(ヤンキース)やアレナド(カージナルス)など米国人のスター選手のみならず、パドレス・ダルビッシュ有(35)、ドジャース・前田健太(33)の両投手やパイレーツをFAになった筒香嘉智外野手(29)など、日本人選手の多くが代理人契約を結ぶ敏腕代理人。もちろん、そんなトレンドにも理由があるという。

ア・リーグ西地区のスカウトはウルフ氏について「日本人選手とはもともと、松井秀喜(元ヤンキースなど)の代理人、アーン・テレム氏の部下として、彼を常にサポートをしていたことが始まり。その後もダルビッシュや前田健太など多くのNPBの選手契約に関わってきた実績は、やはりこれから(米球界に)挑戦しようとする選手には心強いものなのだろうね」と語る。ひと時代前から日本人メジャーリーガーに関わり、米国にあまたいる敏腕代理人の中でも日本人特有の〝気質〟を誰よりも理解、精通している代理人として評判だ。

もちろん、鈴木誠にとっても心強い相棒になりそうだ。現在、MLB機構と選手会の間で交渉が難航中の労使協定の改定案(CBA)が仮に12月1日までに合意できなかった場合、球団業務の一切が停止される可能性があり、鈴木誠の交渉も中断する可能性も憂慮されていた。だが、そんな切迫した状況下になっても「ウルフ氏は頼れる存在になる」と米関係者は予測する。

「仮にCBAが1日までにまとまらず、業務停止状態になっても(業務停止中)は交渉期間には含まれない措置も検討されているようだし、そういう中でも、彼はこれまで通り金銭面重視のビジネスとしての契約だけでなく、選手のプレー環境や家族の生活環境など、かなり細かい部分の契約も怠ることなく交渉すると思う。多くの日本人から信頼される理由は、そういったサラリーとは別の環境面の部分まで行き届いた交渉ができるからだろうし、ウルフ氏もまた、彼らが何を望んでいるかを知っている」(米球界関係者)。

MLBが22日に全球団に獲得可能選手として通知した「鈴木誠」の交渉期限は12月22日(同23日)まで。先行き不透明な中での日本球界最高打者の挑戦は、ひとまず日本勢御用達の敏腕代理人の手腕に委ねられることになる。

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