北海道の子どものために…日本ハム杉浦、玉井ら道産子選手が野球教室を初開催したワケ

子どもたちを指導する日本ハム・杉浦稔大【写真:石川加奈子】

一昨年スタート「ネクスト・サークル」の一環

日本ハムの道産子選手による野球教室が27日、北広島市の星槎道都大室内練習場で行われた。帯広市出身の杉浦稔大投手の発案で、佐呂間町出身の玉井大翔投手、札幌市出身の福田俊投手、厚岸町出身の佐藤龍世内野手、八雲町出身の片岡奨人外野手の5人が集結。少年野球5チーム計33人を指導し、将来のプロ野球選手誕生を願った。

指導はボールの握り方から始まり、キャッチボール、ノック、投球練習、ティー打撃と続いた。佐藤と片岡がティー打撃で豪快なスイングを披露すると、子どもたちから感嘆の声が挙がる。打撃投手として参加者1人1人に3球ずつ投げ込んだ玉井は「ボールが小さいので苦戦しましたが、喜んでくれて良かった。野球を楽しくやってほしいし、長く続けてほしい」と頬を緩めた。

一昨年スタートした道産子選手による野球少年少女応援プロジェクト「ネクスト・サークル」の一環。発足時は鍵谷陽平投手(現巨人)と杉浦、玉井の3人だった北海道出身選手は、今季8人まで増えた。これまで練習用具の支援などを行っており、野球教室は初開催だった。

発案者である杉浦の脳裏には、小学生時代の思い出があった。「僕が小学生の頃にファイターズが北海道に移転してきましたが、選手の野球教室はありませんでした。先日亡くなった古葉さんが一度帯広に来てくれたことは小さいながらも覚えています。(OBではなく)現役選手なら子供たちにとって特別なのかなと思って」と動機を明かした。

日本ハムの道産子選手による野球教室が開催【写真:石川加奈子】

今後はそれぞれの出身地での開催を目指す

今回は鹿部町出身の伊藤大海投手、白老町出身の根本悠楓投手、札幌市出身の今川優馬外野手の新人3選手の参加は叶わなかったが、将来的にはそれぞれの出身地を回りたい考えだ。「今回、福田の母校(星槎道都大)からスタート。今後は、コロナが落ちついてからですね」と杉浦は笑顔で語った。

道産子選手が願うのは、北海道の野球振興とプロ野球選手輩出だ。玉井が「北海道のプロ野球選手が増えてきているのはうれしいです。まだまだ盛り上げれば、増えると思います」と言えば、杉浦も「道産子が増えたら素晴らしい。この中から将来、プロに入る子がいたら良いですね」と野球王国となることを思い描いた。

来季は、子ども時代にテレビで見ていた新庄剛志監督が指揮を執る。新庄Tシャツを着て小学校に通っていたという杉浦は「ワクワクして見ていましたが、プロになって、その凄さが分かりました。この立場で天井から降りるとは」と当時のパフォーマンスに改めて敬意を表した。「今までと違うこともあると思うので、新たな経験値になると思います」と楽しみにしながら、自身もグラウンドで少年少女を魅了する。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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