被爆体験者の「被爆者」認定を 地域拡大協 県と長崎市に要請

県の担当者に要請文を手渡す峰会長(中央)=県庁

 被爆体験者らでつくる「長崎被爆地域拡大協議会」(峰松巳会長)は29日、爆心地の半径12キロ以内で長崎原爆に遭いながら、国の指定地域(爆心地から南北12キロ、東西7キロ)外にいて被爆者と認められない人全員を被爆者と認定するよう、県と長崎市に要請した。認定制度改正に向けた国と広島、長崎4県市の協議が、30日に始まるのを前にした行動。岸田文雄首相らにも要請文を郵送した。
 認定制度改正を巡り、政府は7月、広島原爆の援護区域外で「黒い雨」に遭った原告全員を被爆者と認めた広島高裁判決の確定を受け、原告以外で「同じような事情」の人の救済も検討するとの首相談話を閣議決定していた。
 同協議会は長崎県庁での要請で、県と長崎市が以前実施した被爆体験者の証言調査では、未指定地域でも下痢や脱毛などを訴えた人も少なくないと説明。長崎の被爆地域を爆心地から半径12キロの同心円に改め、被爆体験者らに被爆者健康手帳を交付するよう求めた。
 県は30日の協議では「長崎にも黒い雨や灰が降ったという証言があり、広島と『同じような事情』にあると国に説明する」とした。

© 株式会社長崎新聞社