<南風>伝統と革新

 日本の伝統の一つでもあるしめ縄飾りは、日本人の心が感じられる、一年の幸せを願うすてきな文化だ。そんな古き良き飾りをフラワーアーティストとして「伝統と革新」の融合で進化させたいという、強い思いがある。

 しめ縄の由来は、天照大神(あまてらすおおみかみ)が隠れないように、結界をはった神話からなる。そして、しめ縄をはった内側は神聖な区域とされ、そこから悪いものを寄せ付けないという意味がある。

 1年の実りに感謝を込め、藁を綯(な)い、新しい年も幸多くありますようにと願いを込める。地方によって異なるかたちで伝承された技法からなる「ハレの日に花咲く」縄たちは、幸運のシンボルとして神々しく輝いている。

 そんなお守りのようなしめ縄を、正月以外の季節でもインテリアとして長く大切に飾ることができるように。現代の暮らしに合わせモダンに、国内だけでなく、海外でも「贈る」アイテムとして日本の伝統を伝えていきたい。そんな思いから、数年前から少しずつ活動を続けているプロジェクトがある。それが「ka―doh」だ。

 華道のデザインをベースに、フランス語の贈物という意味のcadeau(かどー)を掛け合わせたオリジナルのデコレーションは、伝統的な縄飾りと上質な造花(アーティフィシャルフラワー)を使い、生け花をいけるように、空間に花で絵を描くように、一つ一つ丁寧に作り上げていく、しめ縄ブランドである。

 現在ではその思いに共感してくれ、イベントや創作活動に協力してくれる企業や、アーティスト仲間もいて、とてもありがたく心強い。今後は、地上から天に昇る柱、神木そのものと言われる久高島のクバの葉を使い、島の人々の思いも一緒にアート作品を作る活動をしていけたらと思う。

(宮平亜矢子、フラワーアーティスト)

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