2021年 株価が上がった銘柄トップ20・下がった銘柄ワースト20

2021年もあっという間に終わろうとしています。今年も多くの方が新型コロナウイルスに振り回された1年だったのではないでしょうか。

日本中がずっと我慢の生活を強いられるとともに、8月には1日の新規感染者数が25,000人を超え医療資源の逼迫が指摘されるなど非常に厳しい情勢となることもありました。

ワクチン接種が進み、年後半には感染者が落ち着いてきたのは本当に喜ばしいことです。世界では新たな変異株「オミクロン」の感染が広がるなどまだまだ油断は禁物ですが、なんとか収束に向かってほしいところですね。

今年も残すところあとわずかです。師走恒例、2021年のマーケットの値動きを振り返ってみましょう。


2021年世界の株式市場はどう動いた?

日経平均の12月7日の終値は28,455円でした。これは昨年末に比べて上昇しているのでしょうか。以下の表をご覧ください。

日経平均の昨年末比上昇率は3.7%と若干上昇しています。ただ、表の通り米国のダウ平均は16.7%、ナスダック総合指数は21.7%上がっていますからそれに比べると物足りないパフォーマンスと言えます。

今年はコロナの影響が残りながらも先進国の株価は概ね堅調で、ドイツのDAX指数、英国のFTSE100はそれぞれ15%前後の上昇率です。また、インドのSENSEX指数は20.7%の上昇とこちらも堅調です。一方でブラジルのボベスパ指数や香港のハンセン指数はそれぞれ10%前後の下落と厳しいパフォーマンスとなりました。

日経平均のパフォーマンスはやや物足りないですが、それに輪をかけて厳しかったのが新興市場のマザーズ指数です。13.1%の下落と非常に厳しい下落となりました。マザーズ指数は昨年33%と大きく上昇したのでその反動という側面が大きいのでしょう。

日本株で上がった銘柄・下がった銘柄

続いて、今年日本で上がった株・下がった株を見ていきましょう。皆さんに馴染み深い、日経平均に採用されている225銘柄の上昇率・下落率を見ていきます。

まず上昇率上位には日本郵船(9101)、川崎汽船(9107)、商船三井(9104)と揃って海運3社がランクインしています。日本郵船と川崎汽船は昨年末に比べてなんと株価は3倍以上に上昇しています。

海運3社はコンテナ船の荷動きの増加や運賃の急騰により業績が急改善し、さらに株主への配当を大幅に増やす方針を表明したことが好感されて株価が大きく上昇しました。上昇率トップの日本郵船の前期の当期利益は1,392億円なのに対して今期の会社予想では7,100億円と約5倍に増える見込みとなっています。

その他の銘柄を見ていくと、上昇率第4位にはポンプメーカーの荏原製作所(6361)が入っています。あまり聞いたことがない方もいるかもしれませんが、ポンプ・送風機・圧縮機などの分野での世界的な大手企業です。今期は風水力事業、環境プラント事業、電子事業とすべての事業で大幅な増収増益を達成しており、業績改善を好感して買われているようです。

その他にも幅広い分野の企業がランクインしていますが、ニコン(7731)、シチズン時計(7762)、三菱自動車(7211)、リコー(7752)など近年業績が冴えず株価が下落傾向にあった銘柄で業績持ち直しの傾向が出た銘柄に株価の反発が見られます。では続いて株価が下落した銘柄を見ていきましょう。

株価下落率のトップはエムスリー(2413)で39%下落しました。医師向けのメディカルプラットフォームの提供などを手掛ける企業で、今期の業績も非常に好調です。ではなぜこんなにも株価が下げているかと言うと、「昨年上がりすぎて割高すぎたから」と思われます。

エムスリーは昨年1年間で株価が195%上昇(約3倍)しており、その反動が出たのでしょう。その他にもソフトバンクグループ(9984)やファーストリテイリング(9983)、任天堂(7974)など昨年株価が大きく上昇した銘柄の反動安が目立っています。

さて、2022年はどのようなマーケットになるのでしょうか。足元はオミクロンの影響等で世界的に感染者数が大きく増加しています。ただ、一部報道では弱毒化に向かっているのではとの指摘もあるようです。その指摘が事実だとすると、いよいよ来年は脱コロナに向け世界的に経済が正常化に向かうはずです。そうなれば日本で再び外国人観光客の受け入れが始まってくるでしょう。

足元の円安傾向もあり日本に旅行したいという外国の方は依然として非常に多いと思われ、観光関連、ホテル、ドラッグストア、鉄道、航空などの関連業種が脚光を浴びてくるでしょう。ぜひそのあたりの銘柄にもご注目頂ければと思います。

<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>

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