今年の漢字

 弊社の社員食堂では、黙々と食事を終えた後、備え付けのアルコールとペーパータオルで、めいめいテーブルを除菌して席を立つのが昨年来のルールだ。そんな新しいマナーにも、外せないマスクにもすっかり「慣」れた-は同僚が選んでくれた一字▲もうそんな時期、一年は早いね、と毎度毎度の感想を抱きつつ、思い浮かべるあの文字この文字。年末恒例の「今年の漢字」が昨日発表された▲個人的に考えていたのは「二」。コロナの流行が2年目に入り、ワクチン接種の「2回目済んだ?」はひと頃あいさつ代わりになった。打っても投げても-の“2”刀流に心を躍らせ、夏には2回目の東京五輪…画数が少なく、あっさりし過ぎているせいか、ランキングでは圏外▲不出来な予想はともかく、大谷選手の「翔」には小欄もお世話になった。コロナ禍に沈む社会に笑顔を届け続けた伸びやかなプレーに改めて感謝▲感染状況は落ち着きを維持している。それでも「光」や「兆し」を思うのはまだまだ気が早いのだろう。にぎわいや日常が「戻」るのは来年の楽しみか▲「金」は4回目の選出。五輪イヤーの定番だ。一方で「カネ」は人々の永遠の関心事。金か券か、一括はどうなのか…。10万円分の子ども給付を巡る議論が、なかなか決着にたどり着かない。(智)

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