被爆当時の板石が出土 長崎・山王神社 「原爆遺跡」範囲拡大に期待

被爆当時の板石が発掘された現場。細長い形状で、並行して埋まっていた=長崎市、山王神社

 長崎市坂本2丁目の「山王神社」境内で、被爆当時の板石の遺構が出土した。何に使われたものかは不明だが、同神社で被爆前から同じ位置にある遺構は少なく、市は国指定史跡「長崎原爆遺跡」の範囲拡大につながると期待している。
 市内で13日開かれた同史跡の調査検討委員会(下川達彌会長)で、市が明らかにした。
 市によると、板石は細長い形状で、並行して埋まっていた。表面には、滑らないようにノミで傷を入れた跡が残っていた。戦後に土をかぶせたとみられる。同じ発掘現場から加工されていない板石も見つかった。
 同史跡は市内五つの遺構で構成し、うち同神社(爆心地から約800メートル)には「一本柱鳥居」として知られる「二の鳥居」がある。だが現在の境内には遺構が少なく、市は史跡範囲の拡大などを目的に2014年9月、調査に着手。今回の発掘が追い風になるとみている。
 板石は6日から始めた調査で発見された。市は「被爆前の参道と舞台を結ぶ通路」と推測。だが、13日に発掘現場を視察した委員は、別の用途の可能性を指摘した。市は調査を継続し、検討委や文化庁と協議しながら、歴史的価値や正確な用途の特定を目指す。23年3月に調査成果などを報告書にまとめ刊行する予定。


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