〈動画あり〉鳴戸親方ら招き相撲 稽古やちゃんこ振る舞い 謙信公武道館「謙武祭」

 上越市戸野目古新田の謙信公武道館は11日、大相撲・鳴戸親方(元大関・琴欧洲)や海洋高出身の鳴戸部屋3力士を招き、相撲体験や公開稽古、ちゃんこ鍋振る舞い、親方のトークショーなどを催した。参加の子どもから大人まで約200人が来場した。

来日から約20年の歩み、大相撲界の今後について語る鳴戸親方(元大関・琴欧洲)

 3力士に小学生ら豆力士約30人が次々とぶつかったり、能生中や海洋高の相撲部員をはじめとする県内の中高生力士が対戦したりと、上越の相撲ファンを沸かせた。海洋高相撲部員が作った塩ちゃんこも無料で振る舞われ、500杯分が完食となった。

鳴戸部屋3力士に挑戦する豆力士たち(謙信公武道館提供)

 

500杯分が用意された塩ちゃんこ。海洋高相撲部のメンバーが前日から仕込んだ
鳴戸部屋の村山と海洋高3年の長谷川凌雅選手の申し合い。同校先輩後輩の対戦

メーンは鳴戸親方(38)のトークショー。海洋高の村山智明監督がインタビュアーとなり、答える形で進行した。19歳でブルガリアから来日し、「200年前に戻ったみたい」という伝統の相撲部屋(佐渡ヶ嶽)に入門。元大関・琴奨菊らと稽古に励んだ。一番うれしかったことには「関取に上がった時に、没収されたパスポートを返してもらったこと」と苦笑交じりに話した。

 角界の今後について「良い伝統文化は残しつつ、新しいものを取り入れていかないと」と話し、「来年は部屋から関取を誕生させたい」と抱負を話した。会場の子どもから「強くなるには」の問いに、「毎日同じことの積み重ねが力になる。日々の努力が結果になる。基本の四股を地道に踏んでほしい」と激励した。

 上越市内から来場した相撲ファンの男性(70)は「正式な稽古を間近で見るのは初めて。力士が立つと土俵が小さく感じる。プロは違う」と感心していた。

 開館2周年の記念イベント「謙武祭」の一環。同館主催で、県や市の相撲連盟や鳴戸部屋、海洋高相撲部などが協力した。

上越で英気、来年に意気 海洋高出身3力士

 「謙武祭」には、海洋高出身の3力士が来館し、地元ファンに久しぶりに勇姿を見せた。

海洋高出身の鳴戸部屋3力士。左から欧勝海、丸勝、村山

 地元上越市大島区上達出身、丸勝(21)は三段目東26枚目だった九州場所に左膝前十字じん帯を損傷し、全休した。この日も中高生との稽古には胸出しを控えた。7月場所以降けがが続いており、「まずはしっかりと治すこと。今は四股やすり足、鉄砲など基礎を中心にやっている」と話す。久々に帰郷し、「こういう機会があってうれしい」と笑顔を見せた。

 最高位は幕下31枚目。「1月場所は出る方向。来年は幕下20枚目以内に戻り、将来は関取を目指して頑張る」と決意を表す。謙信公武道館には「初めて来た」と言い、「立派な施設でびっくりした」。「相撲をやる子が少なくなっている。少しでも興味があれば、イベントに参加してほしい」と話した。174センチ、145キロ。

 鳴戸部屋で番付最上位の幕下西7枚目、欧勝海(20、石川県津幡町出身)は九州場所で右足部(有痛性外脛骨障害)を痛め、十両を目前にして無念の途中休場(2勝2敗3休)。「一から体をつくり直している。1月場所は痛み止めを打ってでも出る」と断言する。

 令和2年7月の初土俵以来、一気に番付を駆け上がってきた。途中休場は2度あるが、出場した7場所は5勝2敗以上の好成績を続けている。「力負けは感じていない。大勝ちして、来年は十両に」と自信をのぞかせる。攻める相撲を身上に押し、攻めながらまわしを引く四つもある。182センチ、135キロ。

 欧勝海と丸勝にとっては、全日本相撲選手権でアマチュア横綱となった海洋高出身、中村泰輝選手(21、日本体育大3年)の存在が刺激になっている。高校時代に同学年で切磋琢磨(せっさたくま)した丸勝は「すごいと思う半面、悔しい。先輩や後輩が活躍しているので負けていられない」と発奮材料とし、同郷の欧勝海は「国技館に見に行っていた。泰輝先輩や(昨年のアマ横綱の)花田(秀虎、日本体育大2年)の活躍が刺激になっている。プロに入ってくるまでに(番付で)差を付けないと」と気合を入れる。

 三段目西76枚目の村山(19、千葉市出身)は海洋高を3月に卒業したばかりで、入門して1年たっていない。九州場所で5勝2敗と勝ち越し、来場所は番付を上げる。「押しを徹底して頑張りたい。来年は幕下に上がりたい」と目標を話した。168センチ、128キロ。

© 株式会社上越タイムス社