今年の忘年会事情 会食制限緩和、客足戻る 慎重姿勢続く企業も

忘年会シーズン、店は感染対策を徹底し客を受け入れている=長崎市、いわしや

 新型コロナウイルス禍の中で迎えた2回目の忘年会シーズン。「第3波」に襲われた前年とは打って変わって、長崎県内は新規感染者ゼロの日が続き、職場内外の会食制限を緩和する動きもあって、歓楽街の人通りは随分回復した。一方で、新たな変異株「オミクロン株」が国内でも確認され、慎重姿勢を崩さない企業もある。飲食店は感染対策に万全を期し、書き入れ時に期待を寄せる。
 昨年末の感染拡大時、県は県民に「家族以外との5人以上の飲食を伴う会食」を控えるよう要請したが、現在は人数制限を呼び掛けていない。県職員に対する人数制限も11月30日で解除。県人事課は「会食は職員同士のコミュニケーションを図る意味もある。だが人数が増えれば感染リスクが高まる」としてマスク着用など感染対策の徹底を引き続き求める。
 長崎市は10月下旬から、市職員の会食開催基準を緩め、今月14日以降、人数の制限も取りやめた。ただ1回2時間以内と規定、お酌や返杯を控えるよう促している。8月に庁舎内でクラスター(感染者集団)が発生した経緯もあり、市人事課は「オミクロン株や季節的な流行が心配。感染者や濃厚接触者が出た場合の市民サービスへの影響を考え、同じ課内でも分散開催を求める」。
 一方、県内22拠点で約750人が勤務する日本生命長崎支社は、昨年12月以降からの「原則4人以内、2時間以内」の会食規定を維持。全国統一ルールで、同社広報部は「営業職が中心で、お客さまと会う機会が多い。長崎で感染者が減っていても引き続き警戒は必要」と話す。
 民間信用調査会社の東京商工リサーチが12月上旬に実施した企業アンケート(有効回答6765社、うち県内44社)によると、忘年会を「開催しない」は79.5%(5375社)、県内も68.2%(30社)に上り、感染再拡大に警戒を緩めていない状況がうかがえる。
 それでも長崎市の歓楽街には客足が戻っている。長崎市銅座町の割烹(かっぽう)「いわしや」は、適切な感染対策の飲食店に与えられる県の第三者認証店。度重なる営業時間短縮要請に翻弄(ほんろう)されてきたが、11月の売り上げは例年の6割ほどに回復。週末は満席になり、予約をせず数人で来店するケースが目立つ。店主の久保捷子さん(79)は「他の店も混んで、入れない人が流れてくるようになった。新年会を予定する人は少ないようだが、この状態が少しでも長く続いてほしい」と願った。


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