今年こそお金を貯めようと考えている人へ「2022年貯まる家計のつくり方」

新年を迎え、「今年こそはお金を貯めよう」と考えている方は、多いのではないでしょうか。毎年お金を貯めようと決意するのにお金が貯まらないという人は、さまざまな「貯めワザ」ばかりに目が行き、基本的なことができていないのかもしれません。

働き方が変わったことによる収入減、巣ごもり生活のストレス発散等による支出増など、コロナ禍で変化したことが長く影響している方もいるかもしれません。そのせいでお金が貯まらないと考える方もいるでしょうが、収入も支出も、その時代背景により、付き合い方をアップデートしていかなければなりません。「いつもと同じ」でいるよりも、その時に合わせ柔軟に変化できる方が、家計も生き方もより強くなり、そして充実するのです。


お金を貯めるには「鉄則」を守る

収入や支出に影響を受けやすい時期でも、お金を貯めるために必ず守りたいことがあります。それは「収入の中で支出を収める」ということ。当たり前のことですが、とても大切なこと。お金を貯めることができている家計は、ほとんどが収入の中で支出を収めることができています。

毎月赤字でボーナスで補填している状態でも、「うちは年末の預金残高が昨年より増えていたから大丈夫」と満足されている方を時々見かけます。クレジットカードの利用で支出が分かりにくくなっているけれど、ボーナスで立て直しているという人もいます。そのような方は、今回のコロナの時のようにボーナスの大幅な減額、または不支給という事態になった時、家計破綻に向かってしまいます。そういう意味でも、ボーナスに頼らず、毎月の収入の中でしっかりやりくりすることが大切なのです。

そうできるようになるためには、2つの方法しかありません。収入を増やすこと、支出をコントロールして削減すること。収入を増やすのは容易ではありませんが、支出をコントロールしていくことは誰でもチャレンジできるでしょう。まずは自分のお金についてきちんと把握し、支出にメリハリを付けていくのです。自分はいくら持っているのか、毎月何にいくら使っているのか、大切にしたい支出はどれか、逆に減らしたりなくしてもよい支出はどれか。そういったことを検討しながら、支出を収入の中で収められるようコントロールしていきます。

自分の支出の仕方が分からなければ、一時的にでも記録をしたり、すでに家計簿のアプリなどで記録をしているというのなら、その記録の振り返りをしてみましょう。その上で、私が勧めてる「家計の三分法」である、支出を「消費」「浪費」「投資」の3つのモノサシで測る方法や、単に支出を振り返り、その中で優先順位を検討していくなどすると、支出のコントロールも可能になってくると思います。

お金を貯めるなら、貯金?投資?

お金の貯め方として、貯金をすべきか、投資をすべきか、迷うこともあるかもしれません。この数年、投資をすべきだという風潮が強くありましたから、貯金より投資、と思われる方もいることでしょう。

貯金だけ、投資だけと偏った考えは危険。生活を守るために使えるお金をしっかり持ち、その上で投資をするということを基本に考えてほしいと思っています。「投資をすべき」と言われ始めてから、「毎月の黒字部分はすべて投資する」「投資は怖いから全部貯金する」と偏る方も多く見受けるようになりました。

投資に偏る人は、「お金が必要になれば売ればいい」と考えていることが多いのですが、いざというときが売りたくない時であったり、急ぎでお金が必要な時なのに、お金を手にするまで数日待たなくてはいけないなどなりやすいものです。また、貯金ばかりに偏ると、数千万円などの貯めたい金額に、届く見込みが立たちにくいでしょう。

そうならないために、預貯金等である程度の現金を持ってから投資をする、現金が不足していてたまるには時間がかかるのなら、現金を貯めながら一部で投資をするという、自分のいまを守りながら、将来に備えることを考えましょう。貯金と投資のバランスが大切なのです。ですから、今の自分の貯金の状況はどうかを把握してから、貯金をしていくのか、投資も併せていくのかを検討されると良いでしょう。

2022年、投資は…

ただ、2022年の投資は、少し厳しい状況となるかもしれません。2021年後半から年末ごろに始まったアメリカの物価上昇、ドルが買われ、円が売られる状況を見ていると、2022年は投資の成果を得られにくい年になるのかもしれないだろうと感じてしまいます。コロナによる影響というか、反動も大きく響いている、そう思うのです。

この2~3年で投資を始めた人は多いでしょうから、ここに来て初めて「投資をしていて大丈夫かな」などと思ってしまうかもしれません。今までは含み益が出やすい状況でしたから、なおさらです。「さんざんiDeCoがよい、つみたてNISAがよいと長期投資を勧めてきたじゃないか」と言われそうですが、投資には波があります。今年はそんな波の中でもあまりよいとは言えない時期になりそうな気配に思います。

ですが、それは一時的なもの。恐らく、長期投資を勧める人が口をそろえていっていたと思います。投資には波があり、良いときもあれば悪いときもあるが、長い目で見ると利益は膨らんでいくと。ですから今年感じるであろう投資のピンチも、1年、2年と経過するうちに回復し、必ず脱していくこととなるでしょう。ですから、もし、投資の成果が得られない状況になったとしても、焦って手放したりせず、辛抱しながら淡々と継続です。

このようにお伝えすると、今年から投資をはじめようと思っていた方は、しり込みしてしまうかもしれません。ですが、投資の伸びが悪いという時期に始めるなら、極端に悪いと感じることも少ないでしょうから、少額で始めてみるのも良いと思います。

2022年、お金を貯める、増やすということには少々厳しい状況になるかもしれません。できること、当たり前のことを淡々としていくことが、家計にとって、資産形成にとって、大切な年になるのではないかと思います。今、自分には何ができるか、何をすべきか。特別ではなく、当たり前なことから見つけていっていただけると良いだろうと考えています。

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