佐世保・相浦地区 農用地活用 複合施設整備目指す 「まちづくり団体」発足へ

活用が進まない相浦地区の農用地。まちづくり団体は市総合グラウンド(左)の建て替えを含め、スポーツや農業、商業の複合施設の整備を目指す=佐世保市

 長崎県佐世保市相浦地区で未活用の広大な農用地を中心とした地域の活性化を図るため、地権者らが4月に「まちづくり団体」を発足させることが2日、分かった。18年前には農用地に大型商業施設を建設する計画が持ち上がったが、市民を賛否で二分する論争の末に頓挫した。団体は、近隣にある老朽化した市総合グラウンドの建て替えを含め、「スポーツ」「農業」「商業」の機能を持つ複合施設整備を目指す。
 農用地は約40ヘクタールで、地権者でつくる相浦土地改良区が管理。国、県、市の支援を受けて約20億円を投じて整備したが、農家の高齢化などで活用が進まず、大半が牧草地となっている。
 2004年にはイオン九州(福岡市)が大型商業施設を出店する計画が浮上。しかし、佐世保市中心部の商店街などが反対し、06年に市は商業地への転用を認めないと表明した。その後も市は法的な制限などを理由に「転用はハードルが高い」としている。
 改良区は「農用地の活用が見通せない」などとして、20年度総会で22年春に解散する方針を決議した。
 こうした動きと並行し、地権者を含む住民有志らは、農用地を中心とした地域振興の在り方を模索している。4月にまちづくり団体を設立する準備を進めており、地元の自治協議会や大学、経済団体などの関係者が参加する予定。
 住民有志らは、1969年の長崎国体に合わせて建設した市総合グラウンドを農用地で建て替えることを含め、周辺地域の一体的な整備を市側に要望する考え。大手総合スポーツメーカーが現地を視察し、参入に意欲を示しているほか、イオン九州も進出する方向で動いているという。

佐世保市相浦地区の農用地

 一方、市は農用地に先端技術の「スマート農業」を導入できないか調査。住民有志らは市の農業政策もまちづくり構想に取り入れ、2027年に「新たなまちを開く」としている。
 改良区の事務総括で、まちづくり団体の設立準備を進める浦芳郎さん(42)は「スポーツは『健康』、農業は『食』に通じ、市民生活の豊かさにつながる。行政と協力して地域課題を解決し、未来を見据えたまちづくりを実現したい」と話している。


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