2022年お金を貯めるためにすべきこと、お金のプロが考える現実的な「FIRE」の道

あけましておめでとうございます!新しい年になるとワクワクしますね。

2021年はコロナ禍の中、東京オリンピックが開催されました。大変だった世の中で、選手たちの活躍に、ポジティブな力をもらいました。お金のトピックとしては、格安スマホ・プラン、FIRE、米国株・ETF、NISA&iDeCo、ポイント投資、スマホ証券などがありました。今年はどんなキーワードがトレンドになるのか楽しみですね。

今回は、「2022年お金を貯めるためにすべきこと」を、みなさんと一緒に考えていきましょう。


「好きな仕事で稼ぐ+資産運用収入」のサイドFIREを目指す

FIREとは、Financial Independence, Retire Earlyのそれぞれの単語をとったもので、「経済的自立と早期リタイア」のこと。FIREとは投資法ではなく、生き方を指します。

実はFIREは大きく分けて2種類あります。

1つは「フルFIRE」です。完全に仕事を辞めて、資産運用の収入だけで生活するもので、FIREといえばこちらを思い浮かべる方が多いでしょう。もう1つのFIREは「サイドFIRE」と言われている生き方です。

なお、フルFIREの中には「リッチ型FIRE(Fat FIRE)」と「超節約型FIRE(Lean FIRE)」が含まれます。リッチ型FIREは高収入や事業の成功、投資でハイリターンを得るなどして、数億円に及ぶ十分な資産を確保したうえで早期リタイアするもので、誰もが憧れるものの、再現性はかなり低いFIREです。

超節約型FIREは、極端な倹約で生活費を最低限に抑えて、資産運用の収入のみで生活するFIREです。生活で使うお金が少ない分、用意する資産も少なくてすみます。物価の安い地方や海外に移住するケースも多いです。このFIREは、FIREを目指している間もFIRE後も超節約生活が続くタイプです。

さて、サイドFIREの話ですが、このFIREは資産運用で収入を得て、同時に働いて収入を得ながら生活する生き方です。勤労収入は現役時代ほど必要ないため、好きな仕事や時短勤務を選ぶなど、労働面での自由度は高くなります。人生のリスクを抑えつつ、日々の充実感を得ながら楽しく生活できるFIREと言えます。

資産運用の収入があることで、ご飯を食べるために(生活するために)する仕事、いわゆる「ライスワーク(Rice-Work)」からの脱却は目指せます。「好きな仕事で稼ぐ+資産運用収入」のサイドFIREを目指すのはどうでしょうか。

早く仕事を辞めたいのは、その仕事を嫌嫌やっている可能性が大きそうです。好きな仕事を無理せず続けるためには、「経済的自立(FI)」の確立が必要です。

年間生活費300万円の場合、フルFIREなら7500万円必要だが…

FIREを実現するためには資産を減らさないことが必要です。その考え方に「4%ルール」があります。

4%ルールは「生活費を投資元本の4%以内に抑えられれば、資産が目減りすることなく暮らしていける」というルールで、トリニティ米国の大学の論文(トリニティスタディ)を根拠にしています。

言い換えると、FIREするために必要な資産は「投資元本(100%)÷年間支出(4%)」と計算できます。

たとえば、年間支出が300万円だとすれば、FIREに必要な資産は300万円÷4%=7,500万円です。

これがサイドFIREであれば、「勤労収入+資産運用収入」になりますので、仮に勤労収入が月15万円、資産運用収入が月10万円とすれば、サイドFIRE資産は120万円÷4%=3,000万円を準備すればOKということになります。

4%ルールの「4%」はあくまで米国株式市場と米国のインフレ率の過去データを基にした数字ですので、必ずしも4%で運用が続けられるという保証はありません。フルFIREの場合、年4%の運用ができなければ、不労所得が減ります。この場合は、支出を削るか、FIRE資産以外の預貯金があればそれを取り崩すという対応が必要です。それができない場合は、資産を取り崩すことになります。

サイドFIREであれば、勤労収入を増やすという選択肢もありますので、資産取り崩しのリスクは減らすことができます。さらに言えば、無理に早期リタイア(RE)を目指す必要もありません。

FIREを目指すも目指さないも、お金を貯めるためにやることは同じ

さて、FIREを目指す・目指さないに関わらず、お金を着実に貯めていくには昔からやることは同じです。

お金が強制的に貯まる仕組みを作り、その貯める金額を増やしていくことです。
まず、強制的に貯める仕組みですが、お金を確実に貯めていくためのキーワード「先取り」「強制」「自動」の3つが鍵です。

先取り貯蓄は、給料などの収入があったらまず先に貯蓄分を取り分けて、残ったお金で生活のやりくりをする方法です。
お金が貯まらない人の多くは、収入が入ったら先に使い、余ったら貯蓄するという「後から貯蓄」をしています。しかし、この方法では月によって使い過ぎてしまい、貯蓄ができないということもあります。

その点、先取り貯蓄なら、先に貯蓄分を確保して、残ったお金で生活しますので、貯蓄できないということがありません。ですから、自然とお金が貯まっていくのです。サイドFIREを目指すなら、お金自身に働いてもらうことが必須になりますので、後述する投資信託自動積立、つみたてNISA、iDeCoはフル活用したいところです。

「先取り」「強制」「自動」を実行するには

「先取り」「強制」「自動」の3つのキーワードを実行するならば、具体的には、次のような制度・商品を活用するといいでしょう。

(1) 「財形貯蓄」または「社内預金」
勤務先が毎月の給料から天引きしてお金を貯める制度です。財形貯蓄のうち「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」には利子が非課税となる恩恵があります。また社内預金は、金利が一般の銀行より高メリットもあります。

(2) 「定期預金自動積立」
給与が振り込まれる銀行口座で、定期預金に自動で積み立てする日を給与振込日の翌日に設定すれば、ほぼ給与天引きの状態となり確実にお金を貯めることができます。少しでも利率が高いネット銀行がオススメです。

(3) 「投資信託自動積立」
投資信託は金融機関のプロが投資家から集めたお金をまとめて運用する金融商品。自分で株式や債券の分散を行わなくて良いので、便利な商品といえます。

(4) 「つみたてNISA(積立NISA)」
NISAは投資で得られた利益に対する税金を非課税にできる制度です。つみたてNISAを利用すると、毎年40万円までの投資でから得られる利益を最大20年にわたって非課税にすることができます。
つみたてNISAで買える商品は、金融庁が厳選した投資信託から選びます。いずれも手数料が安く、中長期でお金を増やすことが見込める商品ですので、初心者でも選びやすく、投資をスタートしやすいでしょう。

(5) 「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」
iDeCoは、老後資産をつくるための制度です。現役時代に一定金額を毎月積み立て運用し、その運用結果を老後に受けとります。
運用成果により将来の年金額は決まります。毎月の掛け金が全額所得控除になることで所得税・住民税の負担が減る、運用中の利益に税金がかからないなど、節税効果が大きく得られる制度です。運用商品は、定期預金、保険、投資信託の中から選ぶことになります。

今まったく貯蓄がないのであれば、財形貯蓄や定期預金自動積立を利用して少しずつ貯めましょう。目安は生活費の6か月分、できれば1年分です。これが貯まったら、投資信託自動積立やつみたてNISA・iDeCoなどの制度を活用してお金を増やすことを考えていきます。

つみたてNISA・iDeCoを上限金額まで投資したら米国株・ETFを検討

つみたてNISA・iDeCoを上限金額まで投資したら、次に取り入れたいのが、米国株・米国ETFヘの投資です。

世界経済の中心は、やはりアメリカ。国自体が安定成長していることはもちろん、世界のトップ企業が数多く存在します。しかも、これらの会社は今でも成長を続けています。実際、ダウ平均株価やS&P500といった、米国株式市場の指標は総じて右肩上がりで成長を続けています。

米国株を買えば、これらの成長の力を借りてお金を増やせるというわけです。

また、サイドFIREを目指す人は、不労所得を得るために高配当株(配当金の高い銘柄)・連続増配株(配当金を毎年増やしている銘柄)を買うのも1つの手です。米国株のなかには、日本株よりも高配当の銘柄、連続増配を行う銘柄があり、60年以上増配している企業もいます。

個別株はリスクが高くて怖いという方は、米国の高配当株に投資するETF(上場投資信託)を買うのもひとつの方法です。
「バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)」「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(HDV)」「S&P500高配当株式ETF(SPYD)」などは低コストで人気があります。

貯める金額を増やすには、「収入を増やす」と「支出を減らす」

貯める金額を増やすには、「収入を増やす」と「支出を減らす」があります。
収入を増やすためには、長期的には現在の会社の昇給を目指す、短期的には副業収入を増やすなどがあります。いずれにしても、収入を増やすのは、労力と時間がかかりますので、継続的に取り組んでいく必要があります。

収入を増やすと同時に支出を減らすことが欠かせません。投資へ回すお金を捻出するために、日々節約が必要となります。
しかし、自由を手に入れるために、人生の「今」に不自由を強いられては本末転倒です。やみくもに支出を減らすのではなく、無理せずにできる節約を続けることが大切です。

ポイントは、金額が大きい支出、効果が持続する支出、やめてもストレスにならない支出を削ることです。
節約を行う場合は、効果の高い順に行うのが鉄則です。
効果の高い順に並べたのが以下の通りです。

(1)固定費の節約(住居費、通信費、光熱費、保険料、サブスクなど)
(2)無駄使いを減らす
(3)変動費を減らす

支出は削ろうとすれば意外と削れます。ただし、当然ながら快適な暮らしとトレードオフの関係となります。どれくらいの節約に耐えられるかをまず試してみるとよいでしょう。

大事なのは、お金のことを真剣に考えて、行動することです。
お金は人生を映し出す鏡。行動しか人生は変わりません。

ぜひ、一歩を進んでくださいね。

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