新春恒例の「獅子舞」を横浜で演じてきた保存会に14歳の新星が加わった。中学2年の杉山恵太さんは新型コロナウイルス禍をきっかけに、昨夏から篠笛を特訓し、4日にデビューを果たした。コロナに打ち勝つ無病息災の祈りを笛の音色に乗せ、「お囃子(はやし)には町の人を元気にする力がある。受け継がれたものを守りたい」との思いを強くした。
横浜市青葉区の市ケ尾地区。閑静な住宅街で、法被姿の杉山さんが甲高い篠笛の音を響かせる。
「ピーヒョロ」。小気味よい音に合わせ、家の玄関口で獅子やおかめ、ひょっとこが舞う。無病息災を願う伝統行事に、住民からは「ありがとう」「また来てね」と笑顔がこぼれた。
杉山さんの祖父で元消防士の方之さん(78)が会長を務め、100年以上続くという「上市ケ尾囃子連」。この日は朝8時半から町内の住宅や店舗など約200軒を歩いて回った。
「やっぱりうまいなあ」。篠笛の師匠である祖父に乗せられ「次も俺、吹いていい?」と杉山さん。玄関で獅子舞を披露してもらった鈴木義和さん(69)は「笛の音が立派で14歳とは思えない。今年こそコロナが収束して、いい1年になってほしい」と願った。